
本の帯に「脳科学が明らかにした驚くべき事実」という刺激的なフレーズが目にとまり、手にした『
子どもの脳を傷つける親たち』(友田明美著・NHK出版新書)に本当に驚いたので皆様にその一部を紹介します。
子どもの前での夫婦げんか、言葉による脅し、罵倒・心無い言葉の繰り返し、スマホ・ネグレクト、無視、兄弟間の差別、放っておく等、強者である大人から、弱者である子どもへの不適切な関わり方が、子どもの脳を「物理的に」傷つけ、学習意欲の低下や非行、うつや統合失調症などの病気を引き起こすことが明らかになってきました。このような「虐待」とまでは言えない「不適切な関わり方」〜「不適切な養育」=「マルトリートメント」と呼ばれています。
脳は、特に脳の発達過程(胎児期・乳幼児期・思春期)において過度なストレスにより、その苦しみに何とか適用しようと自ら変形(萎縮、変形等)させ、脳の機能や正常な発達が損なわれ、その影響は生涯に及ぶと言われています。
日々、子どもと接する中で、こうしたマルトリートメントが全くないという家庭など存在しないでしょう。しかしながら、マルトリートメントの強度や頻度が増したとき、子どもの小さなこころは確実に傷つき、成長過程の脳は変形する可能性があることを、私たち大人は見逃してはいけません。
また、マルトリートメントについては「親」がその中心になりますが、当然のことながら、実父母に代わる養育者や教育の現場などで子どもに接する身近な大人の場合もあります。その行為が軽かろうが弱かろうが、子どものためだと思ってした行為であろうが、傷つける意思があろうがなかろうが、子どもが傷つく行為は全て「マルトリートメント」です。そしてマルトリートメントをしてしまったら、われわれ大人はその行為を認め、改める必要があります。
自立まで長い時間を要するのがヒトの子育てです。核家族で孤立した子育ては、様々な困難が伴い、悩みは尽きません。子育てに奮闘する人を支え、子どもの成長を社会全体で見守ること、養育者への支援がますます求められているのです。
聖愛 森のようちえんが ちびっこぷれす(10月号)に掲載されました。
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