厳しい暑さが続いた夏もやっと幕を閉じそうですが、年々天候の変化が様変わりしているような気がします。温暖化のせい…と言われながらも気温上昇だけでなく、様々な天候不順が各地に大きな被害をもたらしています。今年も急な大雨が線状降水帯となり、人の命を脅かすことにつながりました。自然の力は豊かな恵みをもたらしてくれることもたくさんありますが、生命そのものを奪うこともあります。そんな自然の一部として、小さな命たちも、ひそやかに懸命に暮らしています。
りーこのおうちはおおいそがし。おかあさんが たまごを たくさん うんだから。
「ねえ あそぼ」「いまは だめ」おねえさんたちも りーこをかまってくれません。
「おかあさん あそぼ」ふとんから てをだして りーことじゃんけんぽいをしました。
「つづきは またあしたね。すう すう すう」
たいくつした りーこは さんぽに いくことにしました。
あぶらむしの ところに やってきていいました。
「あかちゃんがうまれたから おかあさん わたしとは あそべないんだって」
あぶらむしおかあさんが いいました。
「そんなときは おなかに いいもの いれるといいわ」 おにぎりをたべて、
こどもたちと かくれんぼ ダンスたいかい おままごとをしました。
りーこが「もう いく」というと、おみやげに かんろあめを くれました。
みつばちが とびまわっています。りーこは おおきなこえで さけびました。
「あかちゃんが たくさん うまれたからー
わたし おうちに いられなくなっちゃたんだー」
みつばちは りーこのそばにきて「そんなときは リラックスが ひつようね」
みつばちプールで ざぶざぶ しゃわしゃわ みずでっぽう びゅーん
あそんだあとはマッサージ、さっぱりした りーこが「もう いく」というと、
みつばちは せっけんと クリームをくれました。 「あしたも おいでよ」
りーこは くもじいの いえに やってきました。
「あかちゃんが たくさんうまれたから りーちゃんのへやは もうないよって、
おかあさんが いうの」 くもじいは りーこのめを じっと みて いいました。
「おかあさん そんなこと いったのかい?
まあ おすわり。ゆかいな ほんでも よんであげよう。つるつるたろう ものがたりの はじまり はじまり・・・・・」
おはなしを きいて 「そろそろ いく」 「つぎは こわーい ほんを よもう」と
くもじいは ちいさな えほんと てさげ をおみやげに くれました。
りーこは しじみちょうの いえに やってきました。
「りーちゃん ひとりぐらしを はじめるんだ。だから おへやの べんきょうをしにきたの」
「あら うれしい おきゃくさま。さあどうぞ なかに はいって」
ふたりは おはなを いけて レコードをききながら おちゃかいをして ファッションショーをしました。
ふかふかのベッドにねかせてくれました。めがさめると
「あのね、りーちゃん もう かえりたい」 しじみちょうが おくってくれました。
「とべるって いーんだ」「ふたりで とぶのもすてきねえ」しじみちょうがいいました。
りーこは おみやげを どっさりかかえて おうちにつきました。
「りーこが かえってきた。 ああ よかった」みんなが くちぐちに いいました。
そのよる。りーこは おかあさんの ふとんに もぐりこんで きょうのことを はなしました。
「りーこに たくさん いいことあると おかあさん うれしくなっちゃう」
ふたりは どうじに ねむりに おちました。
虫絵本の秋山あゆこさん。〜16年ぶりの新作絵本〜と、絵本の帯にありました。じつは、私は秋山さんの絵本を見たことがありませんでした。この絵本との出会いは、文を書かれた麦田あつこさんの作品ということからの出会いでした。編集者としての麦田さんの名は知っていました。あのかがくいひろしさん「だるまさんシリーズ」を世に出し、また、いまや知る人はいない絵本作家として活躍されているヨシタケシンスケさんをイラストレーターから絵本の世界に導いた人でもあります。麦田さんの存在がなければ、あの絵本たちに出会うことはできなかったでしょう。その麦田さんの絵本です。
赤ちゃんが生まれて、居場所が見つからないりーこは、多くの出会いによって、寂しさや苛立ちから落ち着きを取り戻すことができました。おかあさんも疲れてしまうことだってありますよね、そんなときは手助けがたくさんあればいいんです。絵本の中の虫たちはりーこの言葉に何か問うこともなく、をそのまま丸ごと受け入れています。そして、りーこの気持ちに寄り添いながら、彼女の気持ちを楽にしてくれます。りーこの安心はお母さんの安心につながります。こんな存在がまわりにいてくれたら、どんなにいいでしょう。
〜あっ、広げるとこんな色なんだ!きれい!〜これには、しばし感動してしまいました。秋山あゆこさんの虫たちを描く描写力、虫たちへの愛情が伝わったのだと思いました。画面いっぱいに広がる虫たちの日常を見ていると、うきうきしてきます。小さな命に思いを寄せながら、あたりをみまわしてみませんか? ありさんに 出会えるかな・・・
(赤鬼こと山ア祐美子)
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