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認定こども園 聖愛幼稚園

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赤鬼からの手紙(2025年3月号)



『 ふるさとはフクシマ 子どもたちの3・11 』

NPO法人 元気になろう福島/編
文研出版 えほんのもり


   年々暖冬とは言われながら、今冬は大雪に見舞われた地域も多くありました。こんなに多い雪は初めてだというニュースも度々聞かれ、雪下ろし等で命を奪われた方々もいました。気候は確実に不確かなものに変化しています。これは、日本だけのことではなく世界中が差し迫った不順を享受しています。3月の声を聞くと、待ち遠しい春ですが、やはり、この日を覚えます。2011・3・11 東日本を襲った大震災、津波、原発事故 その日から1年が 過ぎた頃、被災した子どもたちの生の声を伝えた絵本です。

 私たちは、東日本大震災・福島第一原子力発電所の事故により被災した福島の子どもたちが、自分たちの力で未来に向かって生きていくのを応援するために、この出版プロジェクトを立ち上げました。プロジェクトの中心は、かけがえのない生命、その尊さを語り継ぐ福島の子どもたち。そして、ボランティアで参加いただいた画家、絵本作家の方々です。福島の子どもたちが、被災の体験を作文にし、画家、絵本作家の方々が、子どもたちの作文から受けた想いを、絵に表しました。福島の子どもたちの体験を多くの方々と共有し、かけがえのないものとするために、それぞれの想いをつむいだこの本を、多くの言語に翻訳し、世界中の人々に届けることも考えています。本書の売り上げの一部は、福島の子どもたちが「新しい福島」『うつくしま』を創っていくための基金とします。子どもたちが自分たちで作りだす、自分たちのための基金です。子どもたちが、それぞれの自分の体験を見つめ、言葉にする。そこから、これからを生きる福島の子どもたちの第一歩がふみだされることを願っています。

NPO法人元気になろう福島 理事長 根本二郎

「浜ばあちゃんと私」  新地町立福田小学校4年 荒 美祐
「地しんのあった日」  大熊町立熊町小学校2年 油井 紅音
「東日本大震災」    伊達市立富成小学校4年 菅野 亜実
「大きかった地しん」  福島市・あづま総合運動公園避難所にて 荒木 咲嬉
「ありがとう」     郡山市立赤木小学校6年 村上 澪奈
「恐ろしい大地震」   郡山市立赤木小学校4年 高野 葉月
「ひなんをして」    大熊町立大熊小学校3年 寺内 りほ
「大きなじしん」    伊達市立富成小学校2年 さとう ゆら

「あの日からのさけび声」郡山市立赤木小学校6年 小林 奈々
 大きな悪魔がいかりだす
 どこからともなく
 助けを求めるさけび声
 心がやみに包まれる
 悪魔が私達を
 おいこんでいく
 「消えてほしい」
 「なんで私達がこんな目に」
 「助けてください」
 「悪魔なんていなくなれ」
 いかり苦しみ にくしみさびしさ
 洪水のようにあふれだす
 あふれる思い 届いてほしい
 世界中の人達に

「あぶない!」     新地町立福田小学校4年 三瓶 泰輝
「原発のえいきょうでのひなん」 郡山市立芳山小学校3年 古川 裕貴
「無題」        新地町立福田小学校4年 門馬 巧

「聞けない」      郡山市立赤木小学校6年 金子 健
 どうしてだれもこないのか
 ぼくはなんにも悪くない
 ぼくは病気? 病気じゃない?
 みんなあいつのせいなんだ
 ブランコゆれた、気のせいか
 風が笑って過ぎてった
 子どもの声はもう聞けない
 子どもの声はもう聞けない

「3月11日東日本大震災」 南相馬市立石神第二小学校6年 菅野 莉奈
「こわかった、あの日」 いわき市立上遠野小学校3年 松田 結愛

   あの日から14年がたちました。この作文を書いた子どもたちも、すっかり大人になっていることでしょう。どんな日々を過ごしてきたでしょうか。きっと寄り添う人々に巡り合えて、前を向いて、新たな人生を豊かに歩んでいるだろうと、信じています。この場では、 特に心に残った2作品「あの日からのさけび声」、「聞けない」を紹介しました。

   地震、津波による被害からは、少しずつ復興しつつある様子ですが、原発事故被害からは未解決のままです。小学生だった子どもたちが、悪魔とよんだもの、みんなあいつのせいなんだと、書いたものは未だに残されたままです。福島だけで受け止めるものではなく、全世界が抱えていく問題です。この子どもだった頃の言葉が世界中の人びとへ届きますように。

(赤鬼こと山ア祐美子)

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