本当に暑い暑い夏でした。
まだまだ暑さのほてりは体に残っていますが、気が付けば、蝉たちの声が聴こえなくなって、あちこちに抜け殻が落ちていたり、その代わりに青々と伸びた稲の上をトンボたちが飛び回るのを見かけると、季節が変わってきているのだなって感じます。
吹く風が秋めいてくると、お日様が沈むのもあっという間です。こんな時の夕焼けはことのほか美しい・・・こんな歌が頭をよぎります。
「夕日がせなかをおしてくる」
夕日がせなかをおしてくる
まっかなうででおしてくる 歩くぼくらのうしろから でっかい声でよびかける
さよなら さよなら さよなら きみたち
ばんごはんがまってるぞ あしたの朝ねすごすな
夕日がせなかをおしてくる
そんなにおすなあわてるな ぐるりふりむき太陽に ぼくらも負けずにどなるんだ
さよなら さよなら さよなら 太陽
ばんごはんがまってるぞ あしたの朝ねすごすな
「おかあさんをさがすうた」
かけて かけて かえってきたのに おかあさん いないんだ
いやだなあ おかあさん
こんなにたくさん つくしんぼみつけて きたのにさ
はやく はやくと かえってきたのに おかあさん いないんだ
いやだなあ おかあさん
こんなにきちんと やくそくまもって いるのにな
なかも そとも やねもみたのに おかあさん いないんだ
でてきてよ おかあさん
かくれんぼだったら さがしてつかまえて やるのにさ
「コスモス」
秋のさくら コスモス
ちょうちょが まちがえて
こんどは なのはなを さがしました
ちょうちょう ちょうちょう
おいそぎなさい もう十月よ
阪田寛夫さんの詩の絵本です。
「サッちゃん」「おなかのへるうた」「ともだち賛歌(リパブリック賛歌)」「そうだ村の村長さん」等々、何度歌ったかわかりません。
教科書にもたくさん載っていました。
お伝えした「夕日がせなかをおしてくる」も載っていたと思います。
この絵本の中にも、ほかにきっと馴染みのある詩があるかと思います。
高畠純さんの絵は、阪田さんの詩を軽やかにほっこりとした表情に描かれていて、見ているだけで詩の世界がどんどん広がってきます。
阪田さんは、熱心なクリスチャンホームで育ちました。
そもそも、ご両親は教会で知り合われたそうです。
特に厳格なクリスチャンであられたお母様の生涯を描かれた「土の器」という作品もあります。
肩の骨を折りながらも礼拝のオルガンを弾きとおしたお母様の魂に触れた作品です。
芥川賞も受賞されています。お父様は聖歌隊のバスを務めておられ、阪田さんの音楽へ入り口だったと言われています。
宝塚歌劇も大好きだったそうで、なんと、あの大女優の「大浦みずき」さんは、阪田さんの娘さんだそうです。
そんな豊かな音楽に憧憬の深い阪田さんの詩による歌は、楽しくて人に寄り添う暖かい言葉の歌がおおいように思います。
思わず微笑みたくなる歌ばかりです。
「ぞうさん」で知られる詩人、まどみちおさんもクリスチャンでした。敬愛するまどさんの詩を阪田さんなりに考察した作品もあります。
詩人として、クリスチャンとしても、繋がるものや伝えたいことがあったに違いありません。
声に出して歌う事、忘れていませんか?
まずは、記憶のあるわらべうたや童謡、唱歌などから声に出して歌ってみませんか?
(赤鬼こと山ア祐美子)
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