学校法人
認定こども園 聖愛幼稚園

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赤鬼からの手紙(2023年12月号)



『 クリスマスのまえのばん 』

さく クレメント・C・ムーア
え  ジェシー・W・スミス
やく ごとう みやこ

新世研

   日々心痛むようなニュースばかりが飛び込むような1年が終わろうとしています。戦争など決して起こるはずはないと信じていた私たちには、当初、遠い国の出来事の様に思われました。でも、未来を創るはずの子どもたちの命が、目の前で失われる場面が重なり、遠い国の出来事ではなくなりました。私たちにできることはあるのでしょうか。失われた子供たちの命を心に刻み、彼らの命に恥じない世界を作っていかねばならないと強く思うこのごろです。家族に目を向けること、すぐそばにいる人と心を通わせることは世界に想いを馳せることに通じます。さあ、手を繋いでお互いに温め合いましょう。

Twas the night before Christmas, when all through the house

クリスマスの まえのばん みんな しずかに ねむってる
いろとりどりの くつしたが だんろの そばに かかってる
だって こんやは おまちかね サンタクロースが やってくる

こどもたちもおとなたちも ふとんのなかでうとうと
ふしぎなものおとが・・・いったいなんのおとだろう
つきあかりが ゆきの のはらをいく トナカイと ちいさな そりを うつしだす
なかには サンタが のっている! くちぶえ ふいたり さけんだり
「ダッシャー、ダンサー、プランサー、ピクセン、さあ、はしれ
 コメット、キューピット、ドンダー、プリッツェン、それ いそげ
 だいじな にもつを こどもらに とどけるんだぞ あさまでに」

あちらのやねから こちらのやねと そりは はこぶよ プレゼント
そして わがやの やねのうえ えんとつ すりぬけ だんろから
サンタクロースが やってきた
けがわで すっぽりみをつつみ パイプをくわえて おおきなふくろを せおってる
パイプのけむりが わを つくり サンタおじいさんの かおをとりかこむ
しろいおひげが ふわりふわりと ゆれている
ふっくらふとった サンタさん ようきでやさしい サンタさん
ふくろをあけて つぎつぎと すてきな プレゼント くつしたのなかに つめていく
ニッコリうなずくと のぼっていったよ えんとつを

そりに とびのり トナカイに くちぶえを ふき かぜのように
サンタは よぞらに きえてった  あとには こえが こだました

”Happy Christmas to all, and to all a good-night.”


   「クリスマスのまえのばん」 きっと、どこかでであったことがあるかもしれません。この絵本ほど、多くの訳者、多くの画家に描かれた絵本もないでしょう。最近では、あのターシャ・テューダーおばあさんの描いた可愛らしい動物たちが登場する、温かく優しく美しい絵に人気が集まっているようです。

   日本では、絵本としては1959年に福音館から「こどものとも」として、渡辺茂男訳で出されたものが初めてなのかもしれません。この時は大沢昌助さんの挿絵でした。後に、ウイリアム・W・デンスロウという方の挿絵で改めて出版されています。大沢さんの絵本では、サンタクロースは赤と白の衣装で描かれていました。その後、渡辺さんの訳で出されたウイリアムさんの挿絵では、衣装が変わって黒っぽい毛皮になっています。

   一説によると、1900年に子供向けの道徳教材として初めてサンタクロースが登場、「北國の老爺三太九郎」とされたそうです。なかなか絶妙なネーミングですね。その後、サンタのイメージについてはすでに1914年の「子供之友」では、サンタは赤白の衣装で描かれています。これはすでに1888年ころには、クリスマスカードが輸入され始めたりしたこともきっかけともなり、一般家庭においても年中行事として定着してきたようです。

   サンタクロースの姿のルーツについては、その由来とされる聖ニコラスの司教服が赤だったということであるとも言われていますが、よく引き合いに出されるのは、1943年にコカ・コーラ社が広告看板用に描いた姿が定着したという内容です。今回ご紹介した絵本にも、そのことが書かれています。とはいえ、様々なサンタの姿があってもいいのかもしれないな、とも思います。子どもたちに向ける、その行為も想いも変わりませんから。

   ただ、サンタが8頭のトナカイの引くそりにのって、空中をとびかい、煙突から現れるというお話は、このムーアの詩によるものであると言われています。絵本の「はじめに」を読んでいただけると、詳しく伝えてくれています。アメリカに定着したこの流れは世界中の子どもたちにクリスマスの素敵な一夜を届けてくれることになりました。

   ”Happy Christmas to all, and to all a good-night.”  訳者の後藤さんは
「メリー・クリスマス、こどもたち メリー・クリスマス、いいゆめを」と訳されました。

   どんな状況下にあっても、子どもたちにとってのクリスマスは神さまの愛が示される一夜です。どうか、戦禍の中にある子どもたちにも、世界中どこにいても、子どもたちへの愛あるプレゼントが届きますように。
”Joy to the World! Happy Merry Christmas to You!”

(赤鬼こと山ア祐美子)

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