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赤鬼からの手紙(2022年11月号)



『かいていとっきゅう
しんかいせん』

ぶん・平田昌弘
え・平田 景

交通新聞社 刊

   旅に行くには絶好の季節になってきました。ウイルス感染の様々な制約から、人々の行動も少しずつ回復してきた様子です。3年ぶりに旅行に行く、という話題があちこちから聞こえてくるようになりました。バス旅、船旅、空の旅・・・「鉄旅」という言葉もあります。「鉄旅」とは、鉄道を使って旅をすることです。車窓からの景色、駅ごとにある駅弁なども楽しみのひとつですね。さあ、「鉄旅」に出かけましょう! えっ?!海のなか?!しんかんせんじゃなくて、しんかいせん?!

しんかい線特急券 こども 東京 → 博多 りゅうぐう3号 1号車2番A席

東京駅 地下7階 39番線 太平洋深海線
竜宮3号は まもなく発車します。
東京駅を出発した竜宮号は 地下深く 品川駅へむかいます。
ここは 東京湾の海の底。魚と目があいました。
太平洋深海線は 海の中を行く 海底特急です。
ここは 深い 深い 海の底。太平洋深海線の最初の見どころは 駿河湾の深海の世界。
お勧めの 駅弁は 「ぐそくむしべんとう」
この駅は ホームから外には出られません。
深海では 水の力で 押しつぶされてしまうからだそうです。
遠州灘は まるで 砂漠のような海の底です。次は 伊勢志摩駅。
ゆっくり くつろいでいると 突然 非常ブレーキが かかりました。
「ただ今 鳴門の 渦潮が 確認されたため 急停車 しました。」
車内に アナウンスが流れて しばらくすると 再び 走りだしました。
穏やかな 瀬戸内海では 緩い カーブが 続きます。
海にも夜がやって来ました。いよいよ 本州と九州を隔てる 関門海峡へ。
海の底を行く太平洋深海線は 海底トンネルを行く山陽新幹線の上を進みます。
終点まで あとわずか。博多湾の手前で トンネルに入りました。
博多駅 地下5階 21番線。 竜宮号は 定刻に 到着。
太平洋深海線は 明日の朝まで 充電中。

   1872年(明治5)年10月14日 新橋~横浜間で日本初の鉄道が開業しました。 今年は、その日から数えて150年の記念の年です。様々な記念事業が開催されている様子が、連日のようにTV画面、ネットニュース、あらゆる紙面でも報道されました。

   日本人として初めて実物の鉄道を見たのは、1843年(天保14)漂流の末、アメリカに渡った、ジョン万次郎と言われています。その驚きを「飛ぶ鳥のようで目にもとまらぬ速さで走り抜ける」と書いています。その後、アメリカのペリーやロシアのプチャーチンが鉄道模型を人々の前で走らせて見せました。ことに、ペリーの模型は大きなもので2本のレールの上を走る本物の蒸気機関車でした。

   1854年3月には横浜や江戸城の庭を一周して走り、その様子は徳川家をはじめ多くの武士たちが見たそうです。そして、その時からわずか1年の間に自分自身で煙を吐いて走る蒸気機関車の模型を作ってしまったのは、佐賀藩の佐野常民でした。そこから、鉄道の必要性を力説した大隈重信と伊藤博文らによって、紆余曲折の末、実物の蒸気機関車を走らせたのです。今や、日本の鉄道は世界でも有数の力を持つようになってきました。

   鉄道のみならず、乗り物の絵本も沢山ありますが、今回の「かいていとっきゅう しんかいせん」は、ちょっと珍しい鉄道です。絵本では全文がひらがなで表記されていますが、この場での紹介では、漢字にしてみました。なんだか急に身近に思えてきました。絵本の中には、時刻表や地図もあるので、もしかしたらほんとにあるのかもしれない…と、思わずネット検索してしまいそうになります。そんな風に思えるほど、わくわく感が迫ってきます。

   この先、もしかしたら近いうちに、「海底特急 深海線 竜宮号」が生まれるかもしれません。できたら、真っ先に乗ってみたいと思いませんか? 150年前の人々の努力と知恵と工夫と技術に習って、ぜひ実現してほしい鉄道です。

(赤鬼こと山ア祐美子)

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