学校法人
認定こども園 聖愛幼稚園

〒400-0071
山梨県甲府市羽黒町618(地図
TEL 055-253-7788
mail@seiai.net



赤鬼からの手紙(2022年5月号)



『野の花 えほん 春と夏の花』

前田まゆみ 作


   ほわっとした空気に包まれると、いっきにすべての草木や花々が芽吹き、顔を出してくれます。どんなことがあっても、前を向きたくなる季節がやって来ました。真新しい出会いや真新しい出来事も待っています。さあ、コートを脱いで、散歩に出かけましょう!遠くに出かけなくても、玄関の扉を開けて、深呼吸したら、足の向く方へ歩いてみませんか? きっと、あなただけの「春」が見つかるかもしれません。

「すみれ」
*すみれのなかま *特徴を観察しましょう *名前の由来
*パンジー、ヴィオラの祖先 *すみれのサラダ *においすみれにはこんなものにも
*すみれずもうで遊びましょう

「はこべ」
*はこべのなかま *特徴を観察しましょう *名前の由来
*花から実へのうつりかわり *はこべのふりかけ

「なずな」
*なずなのなかま *特徴を観察しましょう *名前の由来
*アブラナ科の野菜 *なずなのさやで、かわいい手作りカード

「ははこぐさ」
*ははこぐさのなかま *特徴を観察しましょう *名前の由来
*春の七草 *七草がゆを作ってみよう *ははこぐさのはちみつティー

「きゅうりぐさ」
*きゅうりぐさのなかま *特徴を観察しましょう *名前の由来
*きゅうりぐさのブーケ *わすれなぐさの詩と伝説

「せいようたんぽぽ」
*せいようたんぽぽのなかま *特徴を観察しましょう *名前の由来
*たんぽぽのアクセサリー *たんぽぽサラダ
*たんぽぽコーヒー *たんぽぽコーヒーの作り方

「からすのえんどう」
*からすのえんどうのなかま *特徴を観察しましょう *名前の由来
*からすのえんどうの笛遊び *からすのえんどうクッキング

「おおいぬのふぐり」 「ひめうず」 「むらさきごけ」 「むらさきけまん」  「へびいちご」 「くさいちご」 「れんげそう」 「しろつめくさ」 「のびる」 「はるじおん」 「きんぽうげ」 「おどりこそう」 「ながみひなげし」  「にわぜきしょう」 「のいばら」 「どくだみ」 「ねじばな」 「いぬたで」 「げんのしょうこ」 「かたばみ」
「えのころぐさ」
*えのころぐさのなかま *特徴を観察しましょう *名前の由来
*犬と猫の野菜 *粟の先祖、えのころぐさ *小鳥のレストラン

   あなたの知っている花はどれくらいありましたか? ここでは、28種の花々が紹介されています。 ちょっとした裏山や道端にあるような、見かけても記憶にも残らないような花々たちに こんなにも豊かなお話がつまっているなんて、驚くことばかりです。作者の前田まゆみさんの描く色鉛筆の柔らかな線と色使いが、花々たちをいっそう愛らしいものにしています。ページをめくるごとに、心の中までほっこりして、思わず笑顔になってしまいます。

   まるで図鑑のようだと思いがちですが、あの分厚い図鑑ではない、この絵本の形がより花々たちを身近に感じさせてくれます。実は一般的な図鑑よりももっと、教えてくれることがたくさんあるのです。もちろん、生物としての確かな知識に基づいた記述も、わかりやすく説明されていますが、歴史、文学、芸術、習慣、食べ方、遊び方、楽しみ方…初めて目にすることもたくさんあります。前田さんの生物に対する視点には、知識だけではなく、生き物すべてへの愛情の様なものが溢れていることが伝わってきます。一つ一つに向き合いながら描かれている果てしない時間と深い洞察の眼が、豊かさを増しています。

   例えば、花たちの名前の由来も、日本語ならではの表現の巧みさが語られています。
〜「すみれ」むかしの大工さんが、線を引くのに使っていた「墨入れ」につぼみの形が似ているから、この名がついたともいわれます。〜
まさか、あの紫色の可愛いすみれが、真っ黒な線を引くための墨入れが由来とは、思いもよりませんでした。 また、子供の頃、あたりにたくさんあった「のびる」、味噌をつけて食べたことがありますが、ほかにもレシピが紹介されています。 虫さされのぬり薬にも使われるとありました。昔の人の知恵には、こんなことがたくさんあったのでしょう。 外国のエピソードもあります。「きゅうりぐさ」という名は初めて出会いましたが、わすれなぐさの仲間だそうです。ここでは、ヨーロッパの詩が紹介されています。
わすれなぐさ
ながれのきしの ひともとは、
みそらのいろの みづあさぎ
なみ、ことごとく、くちづけし
はた、ことごとく、わすれゆく
詩の内容についても、詳しく記されています。日本文学においても、花の表現は古代から現代にいたるまで多彩なものがあるのは、多くの方がご存知なことでしょう。

   今世界中が、大きな脅威に脅かされています。ウイルスの猛威のみならず、暴力による幼い命までもが奪われる悲しいことが増え続けています。私たちにできることは、命を思い続けることではないでしょうか。近場にあるあらゆる生き物に、心寄せることからでも伝えることが出来るかもしれません。あなたの傍にある、小さな命に思いを馳せ、日々感じていかれたらと思いつつ、平和を願いつつ、この絵本を送ります。

(赤鬼こと山ア祐美子)

戻る



Copyright © 2022, SEIAI Yochien.
本ページと付随するページの内容の一部または全部について聖愛幼稚園の許諾を得ずに、
いかなる方法においても無断で複写、複製する事は禁じられています。
mail@seiai.net