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赤鬼からの手紙(2022年1月号)



『とらのゆめ』

タイガー立石 さく・え

ビリケン出版


   あけましておめでとうございます。2022年の幕開けです。虎の登場です! 2022年は寅年のなかでも、特別な年。60年周期で訪れる「壬寅(みずのえとら)」にあたる年とされています。「壬(みずのえ)」とは、ゆったりカーブを描きながら流れる大河を表しています。加えて「決断」の意をもつ「寅」が合わさった2022年は、安定性や落ち着きをもちながらも、はっきりと決断できる年。「虎口を脱する」という諺もあります。何とか今年こそは、様々な苦難を脱して、平穏な日々が到来することを願うばかりです。

ぐう ぐう ぐう とらの とらきちは ゆめを みます
ねむい ねむい
とらきちは ゆめの せかいに でていきます
いけに どっぽーん
びしょぬれになって おひさまのところへ
だるまさんになったり
めいろをあるいたり
とらがいっぱい がや がや がや ごう ごう ごう
ぐう ぐう ぐう とらきちは ひとりで ねむります
ゆめを みます ねむい ねむい

   絵本の世界では、虎の絵本もたくさんあります。韓国、中国の絵本作品の中にも多くの虎に出会うことがあるのですが・・・迷いながらも、「とらのゆめ」にしました。虎と言ったら、やっぱり気になるのが、タイガー立石。タイガー立石さんのペンネームは、やはり寅年生まれからきているそうです。肩書には、画家・漫画家・絵本作家・陶芸家とあります。この絵本は、福音館書店から「こどものとも」シリーズの一冊として出版されました。一度絶版になりましたが、別の出版社が引き継ぎ、再版されました。俗にいうナンセンス本の一つですが、こういうものは子どもたちには、結構人気があります。ともかくも、タイガーさんの描く虎の姿、色使い、全体を包む不思議さが子どもたちを引きつけるのでしょう。

1960年代に一世を風靡した「ニャロメ」という言葉に記憶のある人もいるでしょう。赤塚不二夫漫画の欠かせないキャラクターでもあります。実はこの「ニャロメ」は、タイガーさん作成の造語だそうです。てっきり、赤塚漫画の作品からの言葉だと思いこんでいました。 タイガーさんと赤塚さんは公私ともに交流があったそうです。「ニャロメ」の言葉から、あの猫が生まれたのかと思うと、なんとも楽しいつながりです。ニャロメは、蹴られても、投げられても、踏まれても、自転車で轢かれても、不屈の精神で這い上がる、”コンニャロメ!”という負けん気の強さの猫。当時の二人の思いが詰まっていたのかもしれませんね。

   絵本ページをめくるたびにその美しい色使いに魅了され、画家ダリの世界さえも彷彿とします。昨年から今年初めにかけて展覧会も各地で開催されています。年の初めに、頭を空っぽにしてタイガー立石の世界に出会ってみましょう。きっと、豊かな極彩色の夢が見られるかもしれません。

(赤鬼こと山ア祐美子)

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