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認定こども園 聖愛幼稚園

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赤鬼からの手紙(2021年1月号)



『 ぼくじょうにきてね 』

星川ひろこ・星川治雄 写真・文

ポプラ社

   あけましておめでとうございます。 昨年は本当に大変な日々でした。人類が出会ったことのないウイルスが世界中を蔓延し、その脅威はまだ続いています。でも、だんだんわかってきたことも多くなってきました。世界中の人が力を合わせて乗り越えることが出来たらと願うばかりです。

   2021年令和3年は丑年です。「丑」は生まれて初めて手を伸ばす形で、屈曲した腕や芽が伸びようとしている様子を表した象形文字だそうです。今まで曲がっていたものを伸ばすということから「始める」「結ぶ」「掴む」などの意味を持つと言われています。そして、「牛」は日本人にとって、昔から身近で大事な動物でした。力強く農業をささえ、実りをもたらす「大願成就」の意味合いを持つ縁起のいい動物なのです。

   年明けの絵本は、いつも牛の傍にいる女の子のお話です。

あたしは まどか 5さい。おにいちゃんは たもつ。あたしのうちは ぼくじょうなの。
うしを そだてて  ぎゅうにゅうを しぼっているんだよ。
パパは あさとゆうがたに ちちしぼりをするの。しぼった ぎゅうにゅうは のうきょうのおじさんが あつめにくるの。
うしはね、ちちしぼりの じかんになるまえから へやのいりぐちに ならんでまってるの。ふしぎでしょ。
うしの ごはんはね、くさなの。うしのいぶくろは にんげんとちがって よっつもあるんだってさ。みずもすごーくのむし、しおもなめるんだよ。
あのね、きのうのよる こうしが うまれたの!
おにいちゃんが、たもつの「た」と まどかの「ま」で、「たま」となまえをつけたの。
あのね、あかちゃんうしは うまれて すぐ おかあさんと べつべつになるの。
「たま、おかあさんと いっしょにいられなくって かわいそう。あたし、たまのおかあさんになってあげるね」
「たいへんだ!おにいちゃん、たまが もうすぐ いちばに うられちゃうんだって」
「おすは ぎゅうにゅうが でないから うちでは かえないんだ…たまは…おおきくなったら おにくにされちゃうんだ」
たま・・・さよなら。
たま、なんでいっちゃったの。まどかはね、たまのこと だいすきだったんだよ。
すごーく すきだったのに・・・。


大好きな子牛の「たま」と、さよならしたまどかちゃん、、、そんな気持ちをパパとお話します。パパはどんなことをつたえてくれたのでしょうか、、

   「ぼくじょうにきてね」は写真絵本シリーズの一冊です。 絵本には写真で描かれた優れた絵本がたくさんあります。丑年にちなんで、牛の絵本をたくさん見ましたが、この絵本が目に留まりました。私たちが毎日飲んでいる牛乳は、いったいどこからやってくるんでしょう。牛たちがたくさん飼われている牧場ってどんなことをしているんでしょう。そんな牧場育ちの女の子"まどかちゃん"の目線で描かれています。朝早くから、牛の世話をしているパパはとても忙しそうです。パパの仕事ぶりも丁寧に伝えています。子牛が生まれて大喜びのまどかちゃんは、子牛のママになって世話をしますが、雄牛だったので売られていくことに…そして、雄牛は食肉になっていく事実を知ります。パパは、まどかちゃんに話します。「いただきます」は命を頂くこと、感謝の言葉であること。私たち人間はこうして日々命を頂いていることに改めて気づかされます。まどかちゃんは、だからこそ一生懸命お手伝いをしています。

   写真絵本の良さは、直接的に近くに感じられることです。まどかちゃんのきめ細やかな表情描写や、牛の息遣い、おっぱいの温かさまでも感じることが出来ます。 あなたの近くに牧場はありますか?あったら、そっと牛の温かさに触れられたらいいですね。牛がもたらす「始める、結ぶ、掴む、」を胸に刻んで、今年はいい1年になるように努めようと思います。

(赤鬼こと山ア祐美子)


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