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赤鬼からの手紙(2020年9月号)



『 みずとはなんじゃ 』

かこさとし・作
鈴木まもる・絵


小峰書店


   いつ終わるかと思われた梅雨の長雨が終わったとたんに、猛烈な暑さに見舞われた今年の夏。世界中で温暖化が叫ばれる中、日本だけでなく、様々な国々で、この暑さに加えウイルスの脅威に命が脅かされる危機を日々感じています。暑さから命を守るには水分と塩分補給が大切です。そして、ウイルス対策には何といっても手洗いを忘れてはなりませんね。どちらも、命を守るには「水」が欠かせません。いつも身近にあることが、当たり前のようになっていますが、これだけ大事な「水」って、ほんとはどんなものなのでしょうか・・・

   かこさとしさんに、きいてみましょう。


 みずは じゆうに かたちを かえたり、うごかしたり できます。においも いろも なく、すきとおっています。ねつで あたためると すいじょうき となります。はんたいに ひやすと どうなるでしょうか?みずは ひやすと、いしのように かたい こおりに なるのです。こおりは みずより ほんのすこし かるいので、みずや ジュースなどの うえに うかびます。みずは、まるで にんじゃのように すがたを かえることが できるというのが、みずの だいじな 1ばんめの せいしつなのです。
 ひとの からだの おもさを100とすると、60~70をみずが しめています。ひとだけでは ありません。みな、いきてゆくために からだのなかに たくさんの みずをたくわえています。ひとや どうぶつが、ものをたべると、からだにやくだつものを みずがとかし、けつえきとして、ひつようなところへ はこびます。また、からだをまもる りんぱえきと、なって からだをめぐっています。しょくぶつも のばした ねから みずを すいあげ、つちの なかにある ようぶんを みずといっしょに とりこんで そだっているのです。ちきゅうのいきものは みんな、みずの ちからによって いのちを たもっているのです。すばらしい りょうりにんのように、だいじな えいようを たべやすくして からだに はこびこみ、すぐれた いしゃのように、びょうきをふせぐ はたらきを しています。ちきゅうの いきものの いのちを たもつための りょうりにんのような、いしゃのような はたらきが みずの すばらしい 2ばんめの せいしつです。
 たいようの ひかりと ねつは たいせつなものですが、そのままだと、じめんが125どのあつさになってしまいます。しかし、このねつで みずが すいじょうきになるとき、ねつを うばうので、まるで クーラーのような はたらきをしているのです。いっぽう、よるになると、ちきゅうは ひえて れいか170どにも なると かんがえられています。 しかし、たいようの ねつをたくわえた すいじょうきが こおりのつぶとなって くもになり ちきゅうは あたたかい ふとんを かぶっているようになるのです。このクーラーのような、ふとんのような はたらきが みずの すばらしい 3ばんめのせいしつです。
 ちきゅうの うみや かわは さかななどの すんでいるところということだけでなく、いきものが くらしてゆくのに とても たいせつな はたらき をしているのです。 ちきゅうの いきものの ひとりとして、よごさないように しましょう。みずの もっている すぐれた せいしつを しった わたしたちは、みずの ちからをまもり、いきもの みんなが いきてゆけるように つとめましょう。

   「かこさとしさん 最後の絵本」と帯がかかっています。とはいえ、どことなく雰囲気が違います。実は、絵を鈴木まもるさんが担当されているのです。

   かこさんのデビュー絵本は、この場でも紹介した「だむのおじさん」です。工学博士だったかこさんにとって、水への思いは並々ならぬものでした。その後「かわ」「海」「地球」「あまいみずといからいみず」等々の作品を残されましたが、水本来の特性を伝えるのには、まだ足りないと思われていたようです。長い間企画を温めていたのですが、その想いが「みずとはなんじゃ」に繋がりました。でも、かこさんは体が思うように動かなくなり、絵を描くことが困難になってきました。そこで、絵を鈴木まもるさんが引きついだのです。きっと、最後まで仕上げたかったに違いありませんが、その熱意は鈴木さんに届きました。そして、鈴木さんはかこさんの思いをしっかりと受け止めて形にされました。かこさんは絵本の完成を待たずに旅立たれてしまいましたが、きっと喜んでおられるのではないかと思います。

   「いい絵本で感動することこそ子供を育てる最良の薬」という持論のもとに、太田さんが立ち上げられたのが「こどもの本WAVE」という活動です。

   世界の10代の若者達が環境問題に立ち上がる姿を、かこさんはどんな風に思われたでしょうか、、、そんな子供たち、若者達にとって、地球の行く末を考えるヒントが見つかるような気がします。

世界の10代の若者達が環境問題に立ち上がる姿を、かこさんはどんな風に思われたでしょうか、、、そんな子供たち、若者達にとって、地球の行く末を考えるヒントが見つかるような気がします。

(赤鬼こと山ア祐美子)


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