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認定こども園 聖愛幼稚園

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赤鬼からの手紙(2020年4月号)



『 1ねん1くみペット大会 』

アンドリュー&ダイアナ・デイビス 作
ホール・トーリング 絵
おか せいこ訳

岩崎書店

   せっかくの春なのに、コロナウイルス感染で学校が休みになったり、様々な施設も休館になったりしています。病気になってしまった時の治療は医学にお任せするしかないのですが、普段からの私たちの姿勢や努力で防ぐことも可能と言われています。家族や身近な人たち、お友達などと知恵を絞って向かっていかれるといいですね。とはいえ、あたりはすっかり明るい春の装いです。新しい気持ちで迎えることもたくさんありますね。新入学、新学期、わくわくすることも待っています。小さな小さな子が大きな大きなこともできるんです!

 プーナンは 1ねん1くみ。いちばん小さくて、いちばんおとなしい女の子。口のそばまで みみをちかづけないと こえもきこえないくらい。
 ある日、ウイッグ先生がいいました。「ペット大会をひらきます。みなさんのペットを学校につれてきてください。ペットをかっている人は、手をあげて」クラスじゅうの子が手をあげました。「では どんなペットを かっているのかな?」
イヌ、ネコ、キンギョ、ウサギ、キリン・・・ぜんぶに手をあげたのはランジーブだけ。
プーナンは ぜんぜん手をあげません。「プーナン、あなたはどんなペットをかっているの?」ウイッグ先生が ききました。先生がプーナンの口のちかくに みみをもっていくと、プーナンは なにかささやきました。「ブーナンは ライオンをかっているんですって」先生がみんなにいいました。ブーナンは、ほんのちょっぴり にこっとしました。
 金よう日、いろんなペットがあつまりました。くるまにのったり、はこにいれられたり、こやごとはこばれてきたり、とりかごにはいっていたり―――いろいろです。
 もう そろそろ 大会をはじめるじかん。プーナンだけが まだきません。ウイッグ先生は、とけいを見ながら「さあ、じかんですよ。しずかにならびましょう。イヌはひだりのれつ、ネコはみぎですよ」やっと、みんなは たいいくかんに むかいました。たいいくかんの中では、イヌが かたがわに、ネコは はんたいがわに、きれいにならびました。
 キンギョはとてもおとなしいので どこにいてもだいじょうぶです。ほかのクラスのこどもたちが見ているので、1くみのせいとは、とってもうれしくて はなたかだか。でも、プーナンは まだきません。ウイッグ先生がたいいくかんのいりぐちに たちました。
 「おはようございます、みなさん。1くみの 大ペット大会へ ようこそ」
そのときです。
プーナンが入ってきました。そして、そのうしろから とってもしずかに きちんとならんで はいってきたのは・・・・・6ぴきの 大きな ライオンでした!
 イヌやネコ、ほかのペットたちはふるえています。子どもたちもこわくて、おもわずにげだそうとしました。プーナンは先生に、なにかささやきながら、みんなにライオンのげいを みせてあげました。子どもたちは、大よろこびで、大はくしゅ。プーナンが、またなにか 先生にささやきました。「じぶんで みんなに きいてごらんなさい」と先生がこたえると、プーナンはくるりとふりむいて、それはそれは、おおきな こえでいました。
「だれか、わたしのライオンに のってみたい人は いませんか?」
 プーナンと6ぴきのライオンは、一日じゅう みんなとあそびました。プーナンは いまでも やっぱり いちばんちいさくて おとなしい女の子です。でも、だいじなことをいうときには、ちゃんと いえるようになりました。ペット大会がおわって、そのあと プーナンのライオンを見た人は、だれもいません。

   みなさんは、どんなペットを飼っていますか? 我が家には、熱帯魚、鳥たちがいます。以前は、犬、猫、フクロモモンガなども飼ったことがあります。子どもたちがハムスターを育てていたこともありました。ペットは、かわいがるだけではなく、ちゃんと世話をしなければなりません、命を預かる責任がありますね。

   それにしても、このウイッグ先生の提案は大胆です。学校でペット大会なんて…みんな自分の自慢のペットを連れてくることに胸を張っている様子は、どの子もどの子も見ていて楽しくなります。いちばんちいさいプーナンのペットが、まさか6匹のライオンとは!大会を企画した先生もさぞ、驚いたことでしょうが、プーナンの様子をしっかり見据えています。いつもなら、声も出せないくらいのプーナンは、自慢のライオンの芸をみんなに披露することで、大きな自信がついたのかもしれません。

   作者のダイアナ・デイビスは約20年間小学校の教師をしていたそうです。子どもたちへのまなざしにも、そんな経験からの思いが絵本の中に細やかに表現されています。いつも声を出せないプーナンのことがダイアナさんは、気がかりであったのでしょう、そしてきっと、教師生活の中でそんな子供たちにたくさん出会ってきたのでしょう。こんな絵本を描くダイアナさんは、どんな先生だったのか、当時の生徒たちに聞いてみたくなりました。

   4月は、新しい出会いがたくさん待っています。今年度も楽しい1年になりますように!

(赤鬼こと山ア祐美子)


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