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赤鬼からの手紙(2019年1月号)



『十二支のはじまり (おひさまのほん) 』

やまちかずひろ 著
荒井 良二 絵

小学館

   あけましておめでとうございます!2019年の始まりです。 そして、今年は年号が変わるという大事な年でもあります。 日本は西暦だけではなく、独自の「年号(元号)」という数え方もあります。 そのうえ、「干支」という数え方もあります。 今年はいのしし年、十二支の順番で数えると、一番最後の年。12年一巡りの納めの年のようですが、いえいえ、猪突猛進、いのししの様にまっすぐにすすんでいきたいですね。 あらっ、このいのししは・・・どうやら、通り過ぎたって・・・?!

 「おしょうがつに はなにをしよう。だれか あそびに こないかなあ。・・・」
かみさまは、「いいことを おもいついたぞ!」と、どうぶつひろばにでかけて みんなにいいました。「らいねんの いちがつついたちに、わたしのいえで ごちそうたいかいを ひらきます。じゅうにばんめまでに くると、ごほうびがあります。」どうぶつたちは ぜひとも かみさまのいえに いこうと きめました。ひろばからの かえりみち、ねこはともだちのねずみに ききました。「かみさまの いえへいくのは なんにち?ぼく わすれちゃった。」ねずみは かんがえました。(ねこくんに まけると くやしいしいから、ほんとうのことは いわずにおこう)
「たしか ふつかと おっしゃったよ。」「そうか、ありがとう。」
 ついたちのあさ すぐにでかけられるように ねずみはそとで ねることにしました。よなかに めをさますと そこは うしのせなかのうえでした。うしは ねずみをのせたまま ゆっくりとあるきます。そらが あかるくなるころ やっと、かみさまのいえに つきました。「うしさん どうもありがとう。」と ねずみが とびおりたとたんに かみさまが でてきて いいました。「ねずみが いちばん うしが にばん。」ねずみは おどろいて いいました。「のせてもらったのに ぼくがいちばんでごめんね。」「いいえ、わたしはにばんで じゅうぶんですよ」つぎにきたのは とらでした。「ガオーッ。さんばんめとは なさけない。」よんばんめは うさぎ。たつは ごおーっと そらをとび、ごばん。へびは するする ろくばん。ひつじが しちばん、とおもったら、うまが うまくすべりこみ しちばん。ひつじは はちばんでした。さると いぬが けんかをしながら あるいていると にわとりが「けんかは もう けっこう。」と わりこんできたので、さる、とり、いぬ のじゅんばんに なりました。みんなと はんたいのほうから やってきたのは いのししです。「はやく はしりすぎ、きゅうにとまれず、とおりすぎ、もどってきたら じゅうにばん。でも、よかった。」
 ほかのどうぶつたちも たくさんあつまって ごちそうたいかいの はじまりです。「ごほうびの はっぴょうをします。いちばんにきた ねずみのために ことしを『ねずみどし』にします。」とかみさまが いいました。「ぼくの としですって!」 ねずみは おおよろこび。「らいねんは『うしどし』で、そのあとも きたじゅんばんに、『とらどし』『うさぎどし』・・・これを じゅうにしと よぶことにします。」みんなが ざわざわするなか、だれかが ふと いいました。「おや、ねこさんは きていないね。」ねずみは はっとなって(ぼくが うそをおしえたからだ。ねこさんが くれば もっとたのしかったろうに。)
 さてさて、ねこは どうなったでしょうか・・・・

   十二支の始まりの絵本は、たくさんあります。お話を読むと、自分の知っている内容とちょっと違う…と思う方もいるかもしれませんね。十二支は元々中国から伝わりました。日本では時刻を表したり、占いなどにも用いられたりしながら、人々の生活に溶け込んでいました。現在は、あまり意識しない人の方が多くなってきたようですが、お正月のこの時期や、赤ちゃんが誕生したりすると、改めて思い描くことに繋がります。

   日本文化としても、確立しているこの十二支をこんな風に楽しく伝えるのも、子どもたちには身近なものに感じてくれるように思います。それぞれの動物の特徴を細かくとらえながら、優しいまなざしでお話が進んでいきます。神さまの食事会が12の動物だけのものではなくて、そのほかのたくさんの動物たちも集うところが賑やかそうで、うきうきしてきます。そして、神さまは、たったひとりで出かけてきた猫も、ちゃんと迎えてごちそうしてくれています。思わず、よかったあ…とほっとしました。猫とネズミの関係も、これから時間をかけて、きっと修復されていくでしょう。荒井良二さんの絵は、お話をより一層温かく細やかに描かれ、それぞれの動物たちの性格までも伝わってきます。十二支の始まりには、諸説ありますが、子どもたちに寄り添った、こんな終わり方も素敵だなと、私は思います。

   2019年平成31年1月から始まるこの1年、絵本の猫とネズミの様に、世界中が手をつなぎ、心温まる年であってほしいと願っています。

(赤鬼こと山ア祐美子)


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