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書き下ろし連載209
ゆるしに包まれて
マタイ福音書6章14〜15節

細井保路

   もし人の過ちを赦すなら、あなたがたの天の父もあなたがたの過ちをお赦しになる。しかし、もし人を赦さないなら、あなたがたの父もあなたがたの過ちをお赦しにならない。

   「主の祈り」を教えられた後に、イエスさまは念を押すようにゆるしについて語ります。人をゆるさなければ、あなたもゆるされないと言うのです。とても素直には受け入れられないメッセージです。しかし、イエスさまは、私たちの手に負えないような理想を突きつけているのではなくて、別の2つのことに気づかせようとなさっているのです。

   ひとつは、いつの時代にも絶えることのない戦争や紛争の根っこには、相手をゆるさないという根本的な罪があるということです。自分の方が正しいと思うところまで遡れば、悪いのは必ず相手の方になり、私たちはゆるすことができなくなります。日常の多くのトラブルも、「ゆるせない」「ゆるさない」という感情から生まれてきます。簡単に克服できない感情です。

   しかし、人間社会の底辺にドロドロと渦巻くこの情けない感情とは裏腹に、神さまのゆるしはとんでもなく大きいのです。「あなたが人をゆるすことが出来たら、神のゆるしの大きさに気づきますよ」ということは、言い換えれば、「神のゆるしの大きさに気づいてしまえば、あなたは人をゆるせるでしょう」と言っていることになります。私たちは圧倒的な神のゆるしの内に生きているのだということに気づきなさいとおっしゃっているのです。

   寛大な人間になろうという高い理想を抱くより先に、神さまのゆるしの大きさを思い描くべきなのです。私たちはそのどこまでも大きなゆるしに包まれている存在なのだということを思い出してみましょう。そのありがたさに気づけば、ゆるすことまではあとほんの一歩のはずです。


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