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認定こども園 聖愛幼稚園

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書き下ろし連載193
見果てぬ夢
ルカ福音書22章25〜27

細井保路

   あなたがたは、わたしが種々の試練に遭ったとき、絶えずわたしと一緒に踏みとどまってくれた。 だから、わたしの父がわたしに支配権をゆだねてくださったように、わたしもあなたがたにそれをゆだねる。 あなたがたは、わたしの国でわたしの食事の席に着いて飲み食いを共にし、王座に座ってイスラエルの12部族を治めることになる。

   クリスマスは、イエスさまの誕生を祝う日です。イエスさまが残したメッセージは、突き詰めれば、「どんなときも神さまが共にいてくださる」というものです。大切な人がそばにいてくれる体験を通してそのことを知るのです。だから人は、家族の愛に包まれていること、信じてくれる人、守ってくれる人がいることがお互いに必要なのです。

   前回に引き続き、これは、イエスさまの最後の晩餐の席での言葉です。 死の覚悟をしている人の言葉としては、なんとも、悠長な話です。 捉え方によっては、「いつかみんなで天下を取るぞ」と言っているようにさえ聞こえます。 しかし、これは、イエスさまが弟子たちに、「仕える者になれ」と言われたあとに続けて話されていることを忘れてはなりません。 「みんなで、この世界を治めるような時がいつか来る。 でも、『治める者』とは、すべての人に配慮する者ということなのだけれどね。 それが、私の夢なのだ。」とおっしゃっているのです。

   1968年に、アメリカの黒人公民権運動で倒れたマーティン・ルーサー・キング牧師の有名な演説があります。 その言葉は、「アイ・ハブ・ア・ドリーム(私には夢がある)」で始まります。 差別のない自由で平等な世界を作り上げようという切なる願いは、すべての人にとっての見果てぬ夢なのです。

   子どもたちに将来の夢を聞くと、「バティシエになりたい」とか「ウルトラマンになりたい」などと、かわいい返事が返ってきます。 人生の初めに描く子どもらしい夢やあこがれは、決してばかすることはできません。 むしろ、大人になった私たちは夢を見失っていないかと問い直す必要があります。

   いくつになっても私たちは、イエスさまがそしてキング牧師が夢見た、誰もが大切にされる世界を夢見続けることを忘れてはならないのです。


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