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認定こども園 聖愛幼稚園

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書き下ろし連載172
お先にどうぞ
ルカ福音書14章8―11

細井保路

   婚宴に招待されたら、上席に着いてはならない。あなたよりも身分の高い人が招かれており、あなたやその人を招いた人が来て、「この方に席を譲ってください」と言うかもしれない。そのとき、あなたは恥をかいて末席に着くことになる。招待を受けたら、むしろ末席に行って座りなさい。そうすると、あなたを招いた人が来て、「さあ、もっと上席に進んでください」と言うだろう。そのときは、同席のみんなの前で面目を施すことになる。だれでも高ぶる者は低くされ、へりくだる者は高められる。

   まるで処世術のような話で、イエスさまらしくない話のようにも思えます。でも実は「婚宴」や「宴会」は、「天国」のたとえとして使われています。そして、「天国」つまり「神の国」とは、死んだら行くところというより、神さまのお望みが大切にされている世界というほどの広い意味をもっています。ですから、このたとえ話は、神の国に招かれている者として、あなたがたはそれにふさわしい態度をとりなさい、と言っているわけです。ふさわしい態度とは、「私のほうが偉い」とか「私が一番」とか「私を認めろ」とかいう態度ではなくて、むしろ「お先にどうぞ」と人に言えるようになることです。

   「お先にどうぞ」と言えるのは美徳です。イエスさまも、そういう振る舞いをすれば「みんなの前で面目を施すことになる」と言われます。でも、美徳を備えているかどうかは、実はどうでもよいことなのです。イエスさまが本当におっしゃりたいのは、神の国では、つまり神さまが一緒にいてくださると信じるなら、「お先にどうぞ」と言い続けても、自分が落ちこぼれる心配はないということです。ちゃんと神さまが救い上げてくださるからです。

   私たちは、遅れをとらないように、損をしないようにと焦りながら暮らしてしまいがちです。イエスさまは、もう少しゆったり構えてごらんと言われているのです。


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