学校法人
認定こども園 聖愛幼稚園

〒400-0071
山梨県甲府市羽黒町618(地図
TEL 055-253-7788
mail@seiai.net



書き下ろし連載171
幸せはどこに
ルカ福音書13章24―25

細井保路

   狭い戸口から入るように努めなさい。言っておくが、入ろうとしても入れない人が多いのだ。家の主人が立ち上がって、戸を閉めてしまってからでは、あなたがたが外に立って戸を叩き、「ご主人様、開けてください」と言っても、「お前たちがどこの者か知らない」という答えが返ってくるだけである。

   これは、ちょっと聞いただけでは理解しにくい言葉です。イエスさまは、自分たちは正しい道を選択している、王道を歩んでいると思いこんでいる人たちに向かって語っているからです。特に、正しい宗教を信じている、掟を守って道を踏み外さずに生きていると自負する人たちに向かって語りかけているのです。

   人の幸せは、正しい知識をたくさん持っていることではなく、きちんとルールを守っていると自負できることでもなく、神さまや人のためにたくさん働いたという満足感でもなく、神の愛や憐みや慈しみということばで表現されるような温かな出会いを感じられることにこそあるのです。

   これは、自分が正しいと思いたい人にとっては、ものたりない教えです。心温まる出会いというのは、私が積極的に頑張って努力して得られるものではなく、ふわりと包まれるような受け身的な体験だからです。自分の正しさとか能力の高さとは無関係のことだからです。でも残念ながら、私たちは、それに気づかず、努力して何かをつかみ取っていった先に幸せがあると思い込みがちです。それを正面の大きなドアだとするならば、本当の幸せは、忘れられがちな脇の小さな入口のほうにあるとイエスさまはおっしゃるのです。神さまとの出会いだ、神さまからのプレゼントだと思えるような、ささやかだけれど温かい体験を大事にすることの先に幸せがあるのに、私たちは見当違いなものを追い求めているかもしれません。

   子育ての中でふと感じる幸せをもっと大事にしましょう。


戻る




Copyright © 2022, SEIAI Yochien.
本ページと付随するページの内容の一部または全部について聖愛幼稚園の許諾を得ずに、
いかなる方法においても無断で複写、複製する事は禁じられています。
mail@seiai.net