「わたしについて来たい者は、自分を捨て、日々、自分の十字架を背負って、わたしに従いなさい。自分の命を救いたいと思う者は、それを失うが、わたしのために命を失う者は、それを救うのである。人は、たとえ全世界を手に入れても、自分の身を滅ぼしたり、失ったりしては、何の得があろうか。・・・ここに一緒にいる人びとの中には、神の国を見るまでは決して死なない者がいる。」
「神の国を見るまで死なない」というのは随分大げさな表現に聞こえますが、「生きている間に神の国を見る」と言い換えてみれば、イエスさまの言いたかったことがわかります。天国は死後に用意されているだけではなく、この人生を生きている間にもいつも味わうことができると言っているのです。ただし、神からの恵みに包まれて、いつも穏やかな心で感謝のうちに生きるためには、そういう境地を手に入れるためには、一つ条件があるのです。それが、「自分を捨てなさい」ということなのです。
世捨て人になれと言っているのではないのです。世捨て人はむしろ自分の強いこだわりを捨てていない人です。「自分を捨てる」とは、自分の利害や権利にこだわったりとらわれたりしないことです。しかも、こだわりを捨てようと頑張ることでもないのです。実はわたしたちは、正しく「自分を捨てる」ということを無意識のうちにやっているのです。譲り合うとか、相手を受けいれるとか、相手のために何かを準備するときに、自分が得したいという気持ちは自然に消えているものです。まさに子育てをしているとき、わが子のために私たちがしていることは、イエスさまが教えている「自分を捨てる」ことなのです。イエスさまは「わたしのために命を失う者は、それを救う」と言われました。大切な相手のことを思って行動していること、それができることが本当に幸せなのだと気づきましょう。
家族が一緒にいる時間が多い今こそ、この幸せを再確認するよいチャンスです。
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