日が傾きかけたので、12人はそばに来てイエスに言った。
「群衆を解散させてください。そうすれば、周りの村や里へ行って宿をとり、食べ物をみつけるでしょう。わたしたちはこんな人里離れた所にいるのです。」・・・イエスは弟子たちに、「人々を50人ぐらいずつ組にして座らせなさい」と言われた。弟子たちは、そのようにして皆を座らせた。すると、イエスは5つのパンと2匹の魚を取り、天を仰いで、それらのために讃美の祈りを唱え、裂いて弟子たちに渡しては群衆に配らせた。すべての人が食べて満腹した。そして、残ったパンの屑を集めると、12籠もあった。
わずかなパンを何千人もの人に分け与えたというのはなかなか信じがたい話です。状況を想像しようと思ってももう一つイメージが湧きません。それにもかかわらず弟子達はこのエピソードを伝えようとしたのです。彼らにとっては大切な体験だったからです。
出来るはずが無いと初めから諦めていたことが、イエスさまと一緒だったら出来たという体験です。そこには、私たちが問題を解決するときの大切なヒントがみつかります。第一に、手に負えないと思える大勢の人たちを小さなグループに分けて座らせました。漠然とした不安や焦りに負けそうなとき、取り組めるサイズの問題として整理してみるということです。次に、天を仰いで讃美の祈りを捧げました。私たちは、問題と向き合ったり、相手と向き合ったりすることはあっても、その前に、一緒に神に向かって祈るということを忘れています。通常私たちは、自分と相手のどちらが優位にたつか、どちらが正しいかということばかりを考えます。親子の間で問題が生じたときでも、まず同じ方向を向いて祈ることさえできたら、対等な関係になれるものです。そのとき、相手を責めたり、問題のせいにしたりしない解決の道が初めて見えてくるのです。
「扱える問題として受け止める」、「共に祈りながら道をさぐる」という姿勢を大切にしましょう。
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