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赤鬼からの手紙(2017年2月号)



『鬼が出た』

大西 廣 :文
梶山 俊夫ほか:絵

福音館書店

   ほほを刺すような北風が冷たい朝が続いている今年の2月、思わぬ大雪になっているところも多くなっています。雪はそのまま放っておくことはできません。雪かきをしないと家の中に閉じ込められてしまったり、屋根の雪も下さなくては家がつぶれてしまうことだってあります。自分のところが済んだからおしまい?そういうわけにはいきませんね、雪の中での生活を守るためには、みんなで力を合わせなくてはならないこともたくさん出てきます。そんな風に人々を困らせる雪ではありますが、子どもたちにとっては、冬ならでは遊びの豊かさを伝えてくれるものでもあります。雪だるまに雪合戦、そり遊び、スキー、もしかしたら雪の中で”鬼ごっこ”をしているかもしれません。鬼になる子は誰かな?あれ、見たこともない子が混じってはいませんか・・・ほんとの鬼の子かもしれませんよ。

「鬼は―外! 福は―内!」
節分の豆まきの声があちこちから聞こえてきます。
豆まきをしながら、めのまえにほんとうに鬼がいたらどうだろうって、おもったことはありませんか。
絵を見てください。『桃太郎豆蒔之図』
赤鬼、青鬼のすがたを、想像でかいたものです。病気や貧乏、争い事など、様々な不幸をあらわす悪霊どもが鬼と一緒におわれています。
「だれでも鬼になったことがある」鬼ごっこをしたことがある人は、必ず一度は鬼になったことがあるはずです。鬼ごっこの遊びは、何から始まったのか知っていますか?
江戸時代の子どもの遊びの「子をとろ子とろ」や、「ひふくめ」という大昔からあったお祭りなどから、遊びの鬼ごっこになっていったのです。
鬼って何だろう。
恐ろしい怪物?人間に害をくわえる悪霊?
人間が想像から生まれたものにちがいはありません。病気も貧乏も争い事も、いやなものやこわいものはみんな、そこしれない闇のような力を持ったものを、想像で鬼と考えています。人間はほかにはどんなものを鬼と考えてきたのでしょうか。昔の絵には、いろいろな鬼が出てきます。鬼ごっこをするのと同じように、絵の中の鬼になって、鬼も気持ちも考えながら見ていってください。こわがりながら、楽しみながら。

   「鬼が出た」なんだか凄い題名の絵本でしょう?!2月は鬼の絵本の紹介をしようと、決めています。やっぱり、元児童書専門店「赤鬼」の店主としては欠かせません。10冊目で、やっと、この絵本にたどり着きました。たくさんのふしぎ傑作集(福音館書店)の一冊です。鬼の百科事典といってもいいくらいの内容です。我が子に鬼って何?と聞かれても、なかなかすぐには答えられないかもしれませんよね。私自身も本当のところ、今でもわからないことがたくさんあります。でも、この絵本は、昔から語り継がれる物語や風習など、多くの描かれたものの中に鬼を知るきっかけを伝えてくれています。絵巻や屏風絵、仏像など、どれもこれも博物館や美術館所蔵のものばかりです。絵本として、こんなに様々な鬼を見られるものは、他にはないのではないでしょうか。子供たちには難しそうに見える場面も、わかりやすい文章で説明されているので、どんどんお話の中に引き込まれてしまいます。―鬼のつくり方―鬼の見方―鬼の世界地図―も楽しいページです。一つ一つを紐解きながら見ていくと、こわそうだけど…なんだかワクワクしてきませんか。

   「鬼は外、福は内」と豆まきしながら、友達同士で、親子で、家族で、ゆっくりじっくり眺めながら楽しんでほしい1冊です。みんなで鬼の絵を描いてみるのもいいですね、きっと、いろんな鬼が飛びでてくることでしょう。

   そして、〜きみも鬼になってみないか。〜

(赤鬼こと山ア祐美子)

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