今年もいよいよあとひと月になりました。まだひと月あるなあって思う人、もうひと月しかないって思う人、この季節になると、思い方もいろいろです。今年は、LED開発でノーベル物理学賞に輝いた3人の日本人が大きな話題となりました。LEDはすでに世界中のどこでも当たり前のように使われ、なくてはならないものになっています。あのエジソンの発明に匹敵すると賞賛されました。私たちにとって、明かりは日常生活を送るうえで、とても大切なものです。まだ電気のない時代、夜の闇を照らすのは、月明かりや星の輝きでした。12月には、その最も大きな星が光る大切な日がやってきます。これはその晩の、もう一つのお話です。
むかしむかし、ナザレという町にロバのあかちゃんが生まれました。
そのお母さんのロバは、マリアとヨセフのおともをして、長い旅にでることになったのです。
お母さんはあかちゃんロバの世話をお隣のレベッカにたのむことにしました。
でも、あかちゃんロバはお母さんがいなくて悲しくてしかたがありません。
レベッカは、あかちゃんロバといっしょに、お母さんロバを見つけに行くことにしました。
「マリアとヨセフとロバを見ませんでしたか?」
(あいましたよ、エルサレムへいくとちゅうですれちがいました)
エルサレムにむかうと、きゅうでんをまもっているへいたいさんにあいました。
「マリアとヨセフとをみかけませんでしたか?」
(それなら、あっちだ。さあさあ、どいておくれ・・・ヘロデ大王さまに・・・)
やがて、ヒツジの番をしている人たちにあいました
「マリアとヨセフとロバをみませんでしたか?」
(ああ、それなら、ベツレヘムのほうへいったよ)
レベッカとロバのあかちゃんは、ベツレヘムにくると、すばらしい音楽が空になり響き、大きな星が光っているのが見えました・・・
作者のブライアン・ワイルドスミスは大好きな絵本作家のひとりです。私は「どうぶつ」が一番好きな絵本です。"色彩の魔術師"といわれた彼の「ワイルドスミスのABC」は絵本界の最高賞にも輝いています。
今回は、Christmasにまつわるお話です。イエスの誕生物語は、たくさんの絵本に描かれていますが、ワイルドスミスの描き方は、ちょっと不思議です。ロバの赤ちゃんという動物の誕生からお話が始まっています。これは彼の全作品に流れる命への喜びのようなものを感じます。自然の豊かさや、あらゆる生命に対しての畏敬の想いなどがうかがえます。そこから、すべてを見守るイエスの誕生への感謝につながります。なんといっても、その絵の美しいこと!ページのすべてが、それぞれ一枚の壁画のように完成されています。訳者の曽野綾子さんも絶賛していました。敬虔なクリスチャンでもある彼の描く子どものための聖書物語は、その荘厳な挿絵として最高の作品であると言われています。残念なことに、この「クリスマスものがたり」を含め絶版になっているものが多く、図書館等のご利用になりますが、ぜひご覧になっていただきたい1冊です。
伊豆高原に、彼の絵本原画を展示する世界で唯一の『ワイルドスミス 絵本美術館』があります。ワイルドスミスからのメッセージがとても素晴らしく感動しました。
このよき日、一年の感謝を込めて皆さんに送ります。
『日本人は昔から芸術をとても大切にしてきました。美しいものに対する愛情と世界への興味は、途切れることなく、いつの時代も大人から子どもたちへ伝えられてきたのだと思います。私は自分の人生を、子どもたちのための絵本を創作することに捧げてきました。絵本を通して、子どもたちが自分の生まれてきたこの素晴らしい世界をよく観察し、感謝する助けになればと思っています。
私は、子どもたちが人生という山を登り、喜びと幸福に満ちあふれた頂に到達してほしいと、心から願っています。それはこの地球に生まれた一人一人の子どもたちに与えられている大切な権利です。』
Merry Merry Christmas to You !!
(赤鬼こと山ア祐美子)
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