学校法人 聖愛幼稚園
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赤鬼からの手紙(2014年10月号)



『 おおきなおおきなおいも 』

赤羽末吉/さく・え
福音館書店
1,200円(税別)

   実りの秋がやってきました。日本の秋は景色も色とりどりで美しいけれど、食べ物もたくさんの種類が増えて、この季節にしか食べられないようなものもありますね。遠足やハイキングなど、外でお弁当を食べるのも楽しみの一つです。味覚の秋の代表は、魚ならサンマ、 果物なら梨や柿、野菜なら・・・さつまいも?!秋の行事の代表は、やっぱりいもほり!! 

あしたは、こどもたちがたのしみしている
あおぞらようちえんの いもほりえんそくです。
ところが、つぎのあさ  あめがふってきてしまいました。
いもほりえんそくは、1しゅうかんのばすことになりました。
こどもたちは、「つまんない つまんない かさを さしていけばいいんだ!
ながぐつ はいていけばいいんだ! かっぱきて いけばいいんだ!」
「おいもは、1つねると むくっとおおきくなって、6つねて、7つねると いっぱいおおきくなってまっててくれるよ」とせんせいがはなしました。
こどもたちは、どれだけおおきくなるのか みんなでかんがえました。
「せんせい おいもかくから かみちょうだい、えのぐちょうだい ふでちょうだい!」
こどもたちのえは、「もっとおおきいよ、もっともっとおおきいよもっともっともっと・・・」
ごしごししゅっしゅっ、ごしごししゅっしゅっ、かみをどんどんつなげていきます。
やっとできた おいものえは・・・
うわー おおきなおおきなおいも!せんせいはびっくり
さて、このおおきなおおきなおいもで、みんなでなにができたのかなあ・・・


   1972年10月1日発行です。40年以上、おいもの絵本として不動の位置にある名作です。 きっとお母さん世代の方も、手にしたことのある絵本でしょう。 おいもといったら、必ずといっていいほど、どうしても一番目にこの絵本を選んでしまいます。 教育実践による内容を、あの赤羽末吉さんが作品として発表されました。 多色のきらびやかな絵があふれる中でも、赤羽さんのシンプルな黒の線画が、おいもの色一色をより鮮やかにしています。 忘れられないおいもの色です。

   いもほりは、園の行事としても欠かせないものです。 いつごろから行事として取り入れられたのかは、わかりませんが、子どもたちにとっても大事なことのように思います。 食育という言葉も珍しくなくなりました。 店頭に並ぶ場面しか見たことのない子どもたちにとって、食べ物が口に入るまでどのよう流れがあるのかを知る貴重な機会です。 土に親しみ、自分で掘る達成感も同時に味わうことができます。

   絵本の鶴巻幼稚園の子どもたちは、たった一つのいもから、大人では及びもつかない世界にいもを運んできました。 子どもたちの想像の力は際限がありません。 でも、ここには大人たちのちょっとした手助けがあります。 子どもたちの想像の入口をつくることと、その力をいかにさえぎらないで待つことができるかということです。 私たちは、とかく大人の視点で判断してしまいがちですが、この絵本は、どうしたら子どもたちの想像の場所に立てるかを教えてくれた、重要な要素を持った絵本です。 絵本を見ながら、つい、紙はどれだけ必要だったのだろうか・・・などと、そんな貧しい発想しかしないのが大人の悲しさだと思えて仕方ありません。 この絵本をよんで、壁一面に模造紙を張っていたころの我が家を思い出しました。

(赤鬼こと山ア祐美子)

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