学校法人 聖愛幼稚園
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赤鬼からの手紙(2014年9月号)



『 キャベツくんのにちようび 』


長 新太 / さく
文研出版 / 刊
1,269円


   まだまだ夏の名残のようなじりっとした太陽が顔を出す日もあるけれど、少しずつ風も変わってきているような気がします。虫たちも草むらで鳴き声の練習を始めていますね。虫たちが本格的に鳴きはじめると、楽しかった夏休みも終わってしまって、ちょっと寂しい気持ちになります。暑さと戦って体も疲れていませんか?体を整えるには、バランスのいい食事が一番です。特に野菜は大切です。そうそう、キャベツはとくに体にいい野菜です。

あら、どこかで声が聞こえますよ・・・”ぼくを食べちゃうの?”はっ、その声は?

きょうは にちようび
キャベツくんとブタヤマさんがあいました。
ブタヤマさんは、おなかがすいて フラフラ、「おまえをたべる!」と
キャベツくんにいいました。
そのとき「いらっしゃい いらっしゃい おいしいものが ありますよ!」と
さんびきのおおきなネコがいたので ブタヤマさんは「ブキャッ」とびっくり。
ちょっとこわいけど、ふたりはネコたちについていきます。
「ブキャッ」あたりいちめんのキャベツばたけがひろすぎて、またびっくり。
でも、キャベツばたけはすぐにきえてしまいました。
ネコたちはまた「いらっしゃい いらっしゃい おいしいものが ありますよ!」とさそいます。
「ブキャッ」こんどはいちめんにネコだらけ、ブタヤマさんは、またまたびっくり。
そうしたら また「いらっしゃい いらっしゃい おいしいものが ありますよ!」
さあて、こんどは、なにがでてきたでしょう・・・またまたまた「ブキャッ」

   キャベツくんシリーズの4作目の作品です。 長新太さんが天に召されて久しくなってしまいました。 でも、絵本はこうして生き続けています。なおも人気のキャベツくんとブタヤマさん、子どもたちの中にずんずん入ってきます。 たくさんの説明はいらない絵本の代表的な作品。 ともかく手にとって見てください、声に出して読んでください。

   「この絵本はいったい何を伝えているのでしょうか」

長さんの絵本には、時としてこんな質問をなさる方もおられると聞きました。 ナンセンス絵本というジャンル分けをされることもあります。 でも、どれもあてはまりません。 長さんの世界は、子どもたちにしかわからないのかもしれないと思うことがあります。 だから、自分が子供のころに出会ってみたかったと悔しい気持ちにさえなります。 ページいっぱいのキャベツやネコやブタを描いている長さんは、きっと楽しかったに違いないと思います。 子どもたちの心の目と競いながら、負けてない長さん。

   ある子どものTV番組の中で、「おててえほん」というのがありました。 広げた手のひらの中で、子どもたちが自由に話した言葉が絵になって表現されていくのです。 もちろん、子どもたちのお話だけでも十分なのです。 でもTV映像技術でちゃんと絵になって出てくると、絵本の醍醐味になって伝わってきます。 その嬉しそうに語る子どもたちの手のひらの映像を見ながらどこか、長さんの絵本のようだと思ったことがあります。 どんなに時代が変わっても子どもたちが、キャッキャッと笑える絵本は、大事な心の宝物だと思います。

(赤鬼こと山ア祐美子)


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