学校法人 聖愛幼稚園
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赤鬼からの手紙(2014年4月号)



『和菓子のほん』

中山 圭子 /文
阿部真由美 /絵
福音館書店
1,365円

   待ちに待った春!誰もが予想もしないような大雪に見舞われた厳しい冬でした。 でも、雪はとけ、季節は巡ってきました。なにかもが新しくなる4月、入園、入学、進級など様々なお祝い事があります。 その時々に行われる式典、入学式や入園式もあります。日本では昔からお祝い事には、紅白のものを使う風習があります。 式典会場にも紅白の幕を張ったり、花も紅白に並べたりします。 そして、お土産の中には、必ず紅白まんじゅうが入っていました。 今でも行われているのを見かけます。そのまんじゅうにも代表されるのが日本独自のお菓子である、「和菓子」です。 美味しくて不思議な魅力がいっぱいの世界へどうぞ。

 わーっ、おいしそう!
まんじゅう、だんご、せんべい、どらやき、だいふく・・・・・。
あなたの好きなお菓子はどれですか?これは、そんな日本独特のお菓子、「和菓子」の絵本。 和菓子は、色や形で四季の移り変わりを表します。それぞれの季節に合った和菓子が紹介されています。どの季節にどんな名前のお菓子があるでしょうか、
 春の舞い、たんぽぽ、つくしんぼ、菜の花きんとん、野あそび・・・どれも黄色く鮮やか。 桜だより、花見桜、花ごろも、花ぐもり、花いかだ・・・桜のつぼみから散り行く様まで。
 七夕、流水、ほたる川、清流、・・・くずや寒天で口あたりもよく、ひんやりした感じ。
 こねり柿、ふきよせ、うすもみじ、山栗、秋びより・・・実りの秋や紅葉を色鮮やかに。
 初雪、ふぶきもち、雪の花、こぼれ梅・・・雪の舞う様子から、春の訪れを待つ予感まで。

和菓子は、お菓子のおいしさと日本語の美しさがひとつになっていて、すばらしいですね。

和菓子と年中行事 ひな祭り、こどもの日、お盆、お月見、お彼岸、七五三など、季節感だけではなく、人々の夢や願いが込められた和菓子もあります。
和菓子は何でできているの? 米、麦、豆、小麦粉、砂糖、など、私たちの食生活に馴染みの深い食材ばかりです。ほかにも、寒天、くず粉、山いもなど、植物性の材料が多いです。
どうやって作るの? 菊の和菓子、じょうよまんじゅう、きんとん、茶巾しぼり、こはくかん(きんぎょくかん)の作り方や、様々な型を使ったお菓子。
和菓子と器 器によってお菓子の見た目も変わってくるのもおもしろいですね。ほかにも、いろいろな香り、和菓子のデザイン、この和菓子は何を表しているのかな?
色合いを楽しむ、300年前の和菓子の絵図帳など・・・・・

   表紙を見ただけで、のどがゴクン!となってしまいそうですね。食べ物の絵本もたくさんありますが、和菓子を扱ったものは珍しいかもしれません。何から何まで、この一冊でわかってしまいます。まるで、和菓子の博物誌のような絵本です。和菓子から見た、日本の歴史、文化、職人の技、季節や暮らしの中にある人々の想いが伝わってきます。阿部さんの描かれた絵は、どれだけの和菓子と向き合ったのかを感じさせてくれます。手を伸ばせば届きそうです。梅雨にであった、あじさいの和菓子に見入ってしまったという作者の中山さんは”和菓子には日本発見の面白さがあります。”と結んでいます。子供たちが小学生のころ、近所の和菓子屋さんが、夏休みに和菓子つくり体験をさせてくださったことがありました。その日、ぎこちなくても懸命に作ったかわいらしい和菓子を掌に載せて、意気揚々と帰ってきたのを思い出します。きっと、貴重な日本発見の場所だったのでしょう。

   さあ、最後のページにある和菓子、いったいどんな名前を付けましょうか・・・

(赤鬼こと山ア祐美子)

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