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赤鬼からの手紙(2013年10月号)



『のんのんばあ おばけどろぼう』

水木 しげる /作
文研出版 / 発行

1,470円

   一日一日と空が高くなってきました。吹く風も日ごとに爽やかさを増しています。1年中で1番過ごしやすい季節、秋本番です。夏の暑さが厳しかった今年は、秋の到来が、いつもよりはっきりと肌に感ずるような気がします。でも、ちょっと待って・・・ 爽やかな秋風のはずなのに、何だかぞくぞくした空気に変わってきたようです、何やらひそひそとした声が聴こえてきませんか?あの声はいったい、誰かしら・・・

 ヨーロッパにすんでいた悪魔のペリカンと魔女のバリカンは、のんのんばあのもっている人魚の肉の干物をぬすもうと、日本にやってきました。みんなは、へんな仮装の人だと思って、だれも気付きません。のんのんばあの家をたずねた、ペリカンとバリカン・・・
 ”日本のきのどくな子どもをたすけにきました、日本を案内していただけませんか”と魔女のバリカンがうそぶくと、心優しいのんのんばあは、”それはよいことで・・・”と、バリカンを案内する事にしました。家の陰に隠れて、その様子を見ていたペリカンは、ここぞとばかり”さて、仕事にかかろうかい”・・・留守になった、のんのんばあの家の中をこっそり探し始めました。あたりにはつぼがいっぱい、覗きながら探しているうちに、つぼの中から「ボワ―ン!」ペリカンはひどい煙にまかれて、気を失ってしまいました。やっとペリカンが目を覚ますと、そこはなんと、地獄の入口でした。沢山の鬼に囲まれて、ペリカンはエンマさまの前に連れていかれてしまいました。一方山に向かった魔女バリカンとのんのんばあ・・・案内どころか、森のなかで二人の格闘が始まっていました。
 さて、地獄でエンマさまの裁判にかけられた悪魔ペリカン、魔女バリカンとのんのんばあの戦いは、これからどうなってしまうのでしょうか・・・・


   10月は、ハロウィンの祭りがあります。ハロウィンはもともとヨーロッパを起源とする民俗行事で、ことにケルト人の行う収穫祭などに由来するそうです。今では世界中で親しまれる祭りになりました。日本でも様々な場所で、ハロウィンにちなんだイベントが開催されています。いまや、学校や幼稚園、地域のお祭にもなっています。

   そのハロウィン発生のヨーロッパから、わざわざ悪魔と魔女が日本にやってくる、それも日本のおばあさんに会いに来る・・・会いたいおばあさんの名前は「のんのんばあ」 日本を代表する妖怪、おばけ、悪魔、魔女の使者、水木しげるさんの絵本です。もはや、知らない人はいないほどの、日本の宝のような存在です。

   水木さんは、1922年(大正11年)3月8日生まれの91歳の現役漫画家です。もちろん、代表作は「ゲゲゲの鬼太郎」ですが、妖怪漫画だけではなく、他にも腕を亡くされた戦地での厳しい体験や社会に向けられた作品など、多彩な作品があります。今回の「のんのんばあ」も水木さんのライフワークのような物語で、楽しいものが沢山あります。ご存知の方も多いかも知れませんが、「のんのんばあ」にはモデルがいるのです。

   −”「のんのんばあ」というのは、僕が子供の時、近所にいたおばあさんで、のんのん(昔、子供は仏さんのことをのんのんといった)のばあさんだったわけです。”−と水木さん本人が語られています。当時の水木少年は、この「のんのんばあ」から沢山の不思議を頂いたようです。その不思議の中に流れるこころあたたかいものが、水木さんの成長期にどれだけ大きな影響を与えたか、作品から伝わってきます。どのお話の中にもあふれています。

   今回絵本紹介するために、出版社の方とお話をしました。私のもとにあるものは1976年初版本です。詳しく聞いてみると、一度は絶版になったものが2007年に再版になり、現在は3版になったそうです。初版当時の子供たちも大好きだった、のんのんばあシリーズは今でも、摩訶不思議で楽しくやさしい、そして温かい世界を届けてくれることでしょう。

(赤鬼こと山ア祐美子)

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