学校法人 聖愛幼稚園
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赤鬼からの手紙(2013年9月号)



月の満ちかけ絵本


大枝史郎 / 文
佐藤みき / 絵
あすなろ書房 / 発行
1,260円


   1000年に一度の暑さとも言われたり、突然のゲリラ豪雨に何度も見舞われたり、楽しいはずのお祭りに哀しい事件が起きたり、今年の夏は体も心も季節に追いつけないような厳しい日々の連続でした。それでも、夕方になると蝉の声よりも虫の声がはっきり聞こえてくるようになってきました。1年で一番穏やかな季節の到来です。空は入道雲から鰯雲に変わり、花火に彩られた夜空には美しい月が昇り、私たちを和ませてくれます。どうか、今年の十五夜は晴れますように・・・

月の満ちかけを観察してみよう。
月は毎夜、形を変えている。
三日月、半月の月、そしてまん丸な満月になり、こんどは欠けていく。
むかしの人は、この月の満ちかけで日を数えた。これが月のカレンダー。
むかしは電気の明りはなく、月のない夜は真っ暗だった、だから明りでもあった月。
むかしの人は、そんな月に親しみをこめて、名前をつけたり、お祈りしたり、月を心から大切に思っていた。
今よりも、もっと生活に結びついていた月。
むかしの人の気持ちを思いながら、月の満ちかけのふしぎをさぐってみよう。

   こんな言葉から始まって、月の満ち欠けの呼び名と共に、月の動きが科学的にも分かりやすく説明されています。昨年2012年に出版され、とても話題になりました。

月は太陽に照らされて光っている・・・陰と影の違いって何? 新月、二日月、三日月、上弦の月、十三夜、満月、十六夜、立待月、居待月・・・・ 月の呼び名にこんな素敵な呼び名があって、昔の人が月に寄せた思いが伝わります。 月の満ち欠けは29日半の旅、新月から満月に、そしてまた新月に変わっていく。正確には29日12時間44分だそうです。そのひとめぐりに沢山の月と人とのドラマがあります。

春の満月―潮干狩りの前には月を見よう。春の満月には、昼に潮がいっぱい引いて、砂地もいっぱいあらわれるから、潮干狩りにぴったり。だから、出かける前の日に月を見て決めるといいんだよ。・・・・・私は父から、この事を学びました。潮の満ち引きと月の満ち欠けとの関係。月と海にかかわりがあるなんて、とても興味ふかく感じたものです。

秋の満月―この季節は空気が澄んで、遠くまで見えることが多い。だからこうこうとかがやいて、ほれぼれするほど美しい。昔から日本では、このころにとれる里芋をお供えしたので「芋名月」とも呼ばれている・・・・・ご存知でしたか?母が毎年の十五夜に必ず用意したのが、月見団子、栗、葡萄、そして里芋・・・・母はちゃんと知っていたのですね。ススキと秋の花々を飾り、三宝にお団子を美しく積んで、お盆に野菜果物を載せると、月の見える窓を開けます。「お月さま、どうぞ」と母は声をかけながらお供えしていました。しばらくして「お月さまはもうお食べになったかしらねえ・・」と母の声がきこえてくる、すると、私たち兄弟はいっせいにお団子やら果物に飛びついたものでした。十五夜は、年に一度の心待ちしていた楽しい秋の行事でした。

満月を穴から覗くって?五円玉を親指と人差し指ではさみ、垂直に立てて、腕をまっすぐにのばす、そして穴からのぞいてみると、月はその穴の中にすっぽりとおさまってしまう・・・・皆さんもやったことはありませんか?自分が動くと月も同じように動く、いつまでも後をついてくる月を不思議に思いながら、何度も五円玉の穴を覗いては、ドキドキしたのを思い出します。この絵本は、月の勉強もできるけれど、大人の私たちにとっては、ページをめくるたびに月にまつわる遥かな日々に連れて行ってくれます。

   月と宇宙の豆知識として、月までの距離や大きさ、日食と月食のふしぎ、潮の満ち引き、月の模様などもイラストとともに丁寧に説明されています。巻末には2019年までの月の満ち欠け表まで付いています。じっくり何度も楽しめたら、親子で月博士になれますよ!!

(赤鬼こと山ア祐美子)


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