学校法人 聖愛幼稚園
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赤鬼からの手紙(2013年4月号)



『富士山うたごよみ』

俵 万智 /短歌・文
U・G・サト― /絵
福音館書店 / 発行

1,365円(税込)

   駆け足で春がやってきました!雪深い冬に体が縮こまっていたら、あたりはあっという間に桜のじゅうたんが広がっていました。 既に葉桜になってしまところもあるかもしれません。 冬が去って春が来る、私たち日本人には当たり前の巡る季節ですが、毎年その様子は違います。 今年の桜の開花はあれよあれよという間に咲き誇り、何だか夢を見ているような気持ちです。 桜が咲くと、みんなが新しい気もちになります。 これから何かが始まる、そんな一人ひとりのワクワクした気持ちが桜の花びらひとひらひとひらに宿っているように見えてきます。 日本を代表する山と花、富士山と桜を抱える山梨の人々は、なんて幸福でしょう。 あら、こんなところにもあんなところにも富士山が・・・

立春  二月四日頃 春のはじまりです・・・・
春一番の思いよ届け 青空はあなたに続く色の階段

遠く離れている人のことを思うときは、空を見上げてみよう・・・
雨水 啓蟄 春分
清明 四月五日頃 外の空気が清らかで、心の中まで明るくかんじられるころです・・・
さくらさくらさくら咲き初め咲き終わりなにもなかったような公園

さくらの季節になると、日本の人は、そわそわして、うきうきして、わいわいするよ・・・
穀雨 立夏 小満 芒種 夏至 小暑 大暑 立秋 処暑
白露 秋分 寒露 霜降 立冬 小雪 大雪 冬至 小寒
大寒 一月二十日頃、大きい寒さと書いて大寒・・・・
「寒いね」と話しかければ「寒いね」と答える人のいるあたたかさ
そばにだれかがいるって、うれしいね・・・・

   皆さんは、「二十四節気」を知っていますか?1年間の太陽の動きを15度ごとに24等分して決められ、春夏秋冬の4区分に表したものだそうです。日本では江戸時代の頃から用いられた暦の中で使われていたようです。元々は中国の戦国時代に考案されたものなので、日本の気候と合わないものもあり、土用、八十八夜、入梅、など日本独自の「雑節」と呼ばれる表現が補足されました。今回この絵本との出会いで、日本気象協会に出向き、様々なお話を伺ってきました。協会では2011年に、現代日本の気候に合わせた新しい「二十四節気」を創造する準備委員会を立ち上げたそうです。一般からの意見も募り、21世紀の「二十四節気」を発表したいとの事でした。とても楽しみです。

   この絵本は、その「二十四節気」を軸に、歌人の俵万智さんが24の短歌を添えました。「二十四節気」の説明も分かりやすく、現在の私たちにも馴染みのある身近なものになっています。添えられた短歌も読み説かれているので、親子でも読み返すことができます。また、日本を代表するグラフィックデザイナーU・G・サト―さんのイラストが古典的な意味合いの中にも、想像を超えた表現が短歌に隠された秘めた思いを新しくさせてくれます。ページごとに隠された沢山の富士山を探すのも楽しくて、何度も確認したくなります。

   私たちの生活は、冷暖房の部屋で過ごしやすく、食物も季節に関係なく手に入るようになりました。便利さはありがたいけれど、失うものもあるような気がします。四季のある国に生まれた私たちは、季節を五感で感ずることができる幸せがあります。この絵本は、言葉と絵を通して季節だけでなく、人の想いへの深いところへ誘ってくれます。福音館書店創設者であり、現在児童文学者の松居直さんは、最後のページから読むそうです。言葉に愛を感じると語られています。「二十四節気」・・あなたはどの節気から読みますか?

(赤鬼こと山ア祐美子)

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