あたりが輝きだして緑の芽吹きと共に春を迎える準備をしているこの季節、昨年3月11日、日本中がそんな準備をしているさなかに大震災が起こり、大津波が沢山の命を飲み込んでしまいました。あの日から1年、復興に向けた活動はさらに継続しています。今も故郷に戻れない方々、避難所に暮らす方々、戻らない事を決めた方々、様々な想いを抱えておられます。この厳しい現実の中で、あの日に生まれた子供たちのニュースは、生命の尊厳を感ずる感動的なものでした。その子供たちが初めての誕生日を迎えます。頑張ったお母さんたち、そのお母さんを支えた人々、何より生まれてきてくれたあかちゃんたちにありがとう!!
世界のみなさん、こんにちは!
ひとりの女の子が、この世に誕生したのです。今、出産がおわって、あかちゃんは、ママのおなかの上にすわっています。長い間、いっしょにいたのに、対面するのはきょうがはじめて。
女児 出生後25秒
どのあかちゃんも ひとりの人間として尊重され あつかわれなくてはなりません
ひとり ひとり個性をもって
おめでとう!よく生まれてきてくれたね。生まれてたったの16分。きみは、自分のこともまわりのこともまだわからない、幼い存在だと思われているけれど、おとなの知恵をかりたり、理解をもとめたりすることはできるんだよ。
男児 出生後16分
あかちゃんの発育はいちじるしく、この女の子はすでに、世の中にいろいろなことがあることを知りました。生まれて3時間のあいだに、音も、光も、暗さも、熱さも、冷たさもおぼえました。やわらかいもの、かたいもの、かわいたもの、ぬれたものがあるのもわかりました。1分1分と、ときがたつにつれて、何か新しい事を覚えていくのです。
女児 出生後3時間
写真家トーマス=ベリーマンは約7ヶ月間、130人のあかちゃんの誕生の瞬間をカメラに収めました。
"あかちゃんは生まれた瞬間から、ひとりの独立した人間である"ことを写真を通して知っていただきたい、と彼は語っています。
写真絵本のインパクトは、あるがままの世界を映し出していながら、奥に潜んでいるものまでもが見えてくることです。
この絵本のなかにいるあかちゃんの目の奥はこちらを見ています。
母の胎内から世の中に出た瞬間から世界と繋がっているようにも感じます。
母は胎内に命を宿してから、十月十日を共に過ごす幸せを与えられています。
この幸せがあるからこそ、ずっと子供たちと繋がっていく喜びが持てます。
震災当日に生まれたあかちゃんたちも、その日、世の中に送り出してくれたお母さんの勇気と、胎内にいた時の幸せな記憶を携えて世界と繋がっていってくれるでしょう。
そして私たちは、未曽有の災害の記憶とともに、立ち向かう人々の思いを心にとめて、共に分かち合える日々を目指していかれたらと思います。
(赤鬼こと山ア祐美子)
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