いちだんと寒さが厳しくなる季節がやってきました。 今年は各地から、大雪のニュースが飛び込んでいます。 雪は楽しい事がいっぱいあるけれど、危険な事もあります。 四季のある国に住む私たちは、季節に向かう人々の暮らしから、多くの事を学ぶことができます。 雪が降るとあたりは静けさが増し、空気も澄み切って、ちょっとした音も遠くまで響くような気がします。 あらら、何だか賑やかな音が聴こえてきますよ、太鼓の音の様です・・・

オニのこ　ドンは　いたずらもの。
ともだちの　つのは　きるし、パンツは　やぶくし、 おとうさんの　かなぼうで　やきゅうはするし―――
「でていけ！」　とうとう　うちから　おいだされました。
にんげんのこ　こうちゃんも　いたずらもの。
たべものは　ちらかすし、おまるは　かぶるし、
おとうさんの　ゴルフクラブで　ちゃんばらはするし―――
「でていけ！」　とうとう　うちから　おいだされました。
こうちゃんのうえに　ドンが　おっこちてきました。
こうちゃんは　びっくりして「なんだよ、おまえ」
そして、ドン！　と　たいこを　たたきました。
「オニのこだよ」　ドンが　こたえました。
「おまえは　なんだよ」と　いうと　
たいこを　たたきました。　　ドン！ドン！
「にんげんのこだ」こうちゃんが　こたえました。
そして、こうちゃんも　まけじとたいこを　たたきました。
ドンドコ　ドンドン　ドン！　ドンドコ　ドンドン　ドン！
ドコンコ ドコンコ　ドン！ドコンコ　ドコンコ　ドン！
おとうさんも　おかあさんも　ドコドコ　ドコドコ　ドコンコ　ドン！
ねこもいぬも　にわとりもうしも　にんげんのせかいからも　オニのせかいからも
みんなが　あつまって　ドンドコ　ドンドコ　ドカシャバ　ドカシャバ・・さてさて・・


   今月は年に一度の"鬼の絵本"の紹介です。今年はこんなに楽しい絵本にしました。 『ドオン！』と書かれた表紙に吸い寄せられて、何が始まるのかとわくわくした気持ちになります。 ジャズピアニスト山下洋輔さんの『もけら　もけら』に続く2作目の絵本です。 『もけら・・』登場の衝撃は、今も忘れられないほどの響きとなって残っています。 あるテレビ番組で『もけら・・』をもとに、山下さんがピアノを弾かれるのを聴いて、その音の凄さに圧倒されました。 絵本の世界が何十倍にも膨らみました。『ドオン！』は＜佐渡国・鼓童＞の人々との交流から生まれたとの事ですが、 絵本を読みながら太鼓の響きを声に出すたびに、心臓の鼓動と重なってくるようです。 叩くだけで音が出る太鼓という楽器は太古の昔から、人間の体の一部となって叩き継がれてきたのだと思います。 大人も子供も、動物も？！太鼓の前では、みんな一緒です。 共に叩くことでつながる事が出来ます。 そして、「ドオン！」とぴったり音が合った時、みんなの気持ちが一つになった証拠ですよね。