学校法人 聖愛幼稚園
〒400-0071
山梨県甲府市羽黒町618(地図
TEL 055-253-7788
mail@seiai.net



赤鬼からの手紙(2011年1月号)



『ましろのあさ』

いもとようこ / 作・絵
金の星社 / 発行

1,260円(税込)

   2011年のスタートです。ミレニアムと称された年から10年が過ぎました。 また次の10年に向かって歴史のページが開きます。 10年と一口にいっても、子供たちを思うと、生まれてから小学4年生くらいにまで成長する多くの時間です。 年の初めに、月日の積み重ねを大事に思いかえし、気持ちを新たにしたいものです。 今年は卯年。うさぎの様に、楽しい事はぴょんぴょんと飛び跳ねて、辛いことはぴょーんと飛び越えていきましょう。 そんなうさぎのお話です。ほら、"ましろ"がこっちに向かって走ってきます、ぴょんぴょん・・・

ましろは うまれた ときから ずっと あみの へやに います。
ましろの へやには、おいしい にんじんが いっぱい あります。
きれいな みずも たっぷり あります。そして、へやは いつも きれいです。
「だけど なんだか つまらない。だけど なんだか つまらない。
 わたしは いつでも あみの なか。あみの そとは どんなだろう・・・・」
つきの あかるい よる でした。
「そうだ ここを でよう。じぶんの あしで はしってみよう。はねてみよう。」
けっしん すると ましろは あみを やぶって とびだしました。
ましろは はしって はしって はしりました。
「ウ― ワン ワン ワン ワン」
とつぜん、きばを むきだした のらいぬが、おいかけてきました。
ましろは ひっしで にげました。「もう だめだ!」と おもった ましろは
めのまえの いばらの しげみに とびこみました。
・・・そのまま いならのなかで ねむってしまった ましろ
・・・いったい どうなるのでしょうか

   「うさぎの絵本なら、わたし、わたし!!」って、本棚から飛び出してきました。 愛くるしい真っ赤な瞳で見つめられると手放せなくなる、そんな"ましろ"のお話です。 絵本ではこういう表現が多々ありますが、動物を飼っているお家ではちょっとためらうこともあると聞いたことがあります。 でも、それはどうでしょうか。この絵本の大事なメッセージは、『自由になる』ということだけではないように思います。 "ましろ"が本当に望む姿は何かを考えることだと思います。 網の外の世界を知ってみたいと思って、勇気を出した事。 外の世界に出会い、今までの自分の世界に想いを馳せ、自分の置かれていた世界への感謝の気持ちに気づくこと。 自分とは何かという事を追い求めること。 この絵本は私たち大人にも沢山の事を気づかせてくれます。 子供たちが園児の頃、園バスを待つ空地にはたくさんのクローバーが咲いていました。 長女が「うさぎのえさをもっていかなくちゃ」って、毎朝小さな手にクローバーをいっぱい抱えていました。 うさぎといえば、にんじんを食べるものと思い込んでいた私に、ありのままのうさぎの姿を教えてくれたのもこの絵本です。                  

(赤鬼こと山ア祐美子)


戻る



Copyright © 2010, SEIAI Yochien.
本ページと付随するページの内容の一部または全部について聖愛幼稚園の許諾を得ずに、
いかなる方法においても無断で複写、複製する事は禁じられています。
mail@seiai.net