学校法人 聖愛幼稚園
〒400-0071
山梨県甲府市羽黒町618(地図
TEL 055-253-7788
mail@seiai.net



赤鬼からの手紙(2010年11月号)



『どんくまさん』

橋本幸造 / 絵

蔵富千鶴子 / 作

武市八十雄 / 案

至光社 / 出版

1,365円(税込)

   このところ、あたりが急に冷え込んできたように思います。 もしかしたら、今年はこのまま暑いままなのじゃないかしら・・・と思うような夏の日々から、秋を飛び越えて一気に冬になってしまいそうな気配です。 山の動物たちの中にはそろそろ、冬ごもりの準備をし始めている動物もいるかもしれませんね。 今月は、そんな冬ごもり支度のはずなのに、秋風が吹き始めると、なんだかさびしくなってしまう、"どんくまさん"のお話です。

やまの おくの また おくの どんくまさんの おうちにも
きょうは あきかぜ ふきました
ささやぶ さやさや なるたびに どんくまさんは そとに でて
だれか きたかと さがします
ぼくも ともだち ほしいなと どんくまさんは さびしそう
のぎくの においを かぎました
まちまで いってみようかな どんくまさんの こころには
ぽっちり ゆめが ひを ともす
やまの おくの またおくの どんくまさんは よそいきで
のっそり のっそり たびに でた
こうして、どんくまさんが ついたところは、うさぎのまちのおおどおり
どんくまさんは おどろいて たちんぼう なにをやっても しっぱいばかり
・・・ともだちがほしかった、どんくまさん、ともだちはできたでしょうか

   『人里に熊が出現、射殺!』−最近、毎日のように耳にします。 その度に"どんくまさん"が目に浮かびます。 いったい山でなにがおこっているのでしょうか。 一番の原因は、食べ物が少なくなっていることだそうです。 実は熊は、"どんくまさん"のようにとても臆病で、絶対人里には出てこないはずなのに、食べ物を探すうちに人間に出くわしてしまい、人間が被害にあってしまうのです。 元々日本の山々は、秋には実をつける広葉樹が沢山あって、小さい動物たちがそれを食べることで、動物たちの暮らしは上手に成り立っていました。 ところが、人間の暮らしのために、広葉樹よりもあまり実をつけない針葉樹を増やしてしまったのです。 今、元の山を取り戻すためにドングリの苗木を育てる活動も始まっているそうです。 失敗ばかりの"どんくまさん"でも、うさぎのかんとくさんはこう言いました。 『まあ いいさ いっしょうけんめい やって くれたんだからな』うさぎの力になりたいと頑張った"どんくまさん"その気持を大事にしたうさぎのかんとくさん、それぞれの温かさが柿本さんの描く世界から柔らかく伝わります。 1967年初版から、たくさんの"どんくまさん"が誕生しています。地球の恵みに感謝し、動物たちと人の暮らしを守りつつ、共に生かされていきたいと祈りながら"どんくまさん"をいつもそばに置いています。                  

(赤鬼こと山ア祐美子)


戻る



Copyright © 2010, SEIAI Yochien.
本ページと付随するページの内容の一部または全部について聖愛幼稚園の許諾を得ずに、
いかなる方法においても無断で複写、複製する事は禁じられています。
mail@seiai.net