学校法人 聖愛幼稚園
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赤鬼からの手紙(2010年3月号)



『のはらの ひなまつり』

神沢 利子 / 作

岩村 和朗 / 絵

金の星社 / 発行

1,890円(税込)

   今年の冬は、とても寒さの厳しい日が続いていたような気がします。 北国の友人からは雪に埋もれた生活の便りが届きました。 久しぶりの大雪対策に追われたとのことでした。都会では、数センチの雪でも 交通がマヒしたり、転んでけがをする人がいましたが、雪国では、数メートルの 雪でもへこたれない雪ん子たちが、顔を真っ赤にして、元気に飛び回っていました。 そんな雪ん子たちの足元にももう、春を呼ぶ「ふきのとう」がひょっこり顔を 出しているかもしれません。一足早く、たんぽぽのはらのお話を届けましょう。

きょうは ひなまつり。
あたしも ひなまつりを したいなあ。
でも、ひなまつりには おひなさまが なくちゃ。
ともこは がようしに おひなさまの えを かきました。
「ともこちゃん、あそぼう」ねこの みーやが きました。
「だめ あとで」と、ともこが いいました。「なに してるの」・・・・・
「だって、みせられない。あたし おひなさま つくるんだもの」
まどから ゆうくんが のぞきました。・・・「だめ、 みちゃ」
「なんだい。みせてくれても いいじゃないか。
 ともこちゃんの けち、いいよ、あそばないから」と、ゆうくんが どなりました。
・・・だって みせられない。
きれいに かざったら よんであげるの。ともこは いろがみを きりました。・・・
そのとき、かぜが びゅうーと ふいてきて
いろがみと おひなさまを ふきとばしました。
ともこは あわてて おいかけました。   「まってー」
でも、どこへ とんでいったのかしら・・・
ちゅっ ちゅく ちゅう と ねずみたち、
ぴょん ぴょこ ぴょん と うさぎたち・・・
たんぽぽのはらのほうから、うたごえもきこえてきました。
いったい、なにが はじまっているのでしょうか・・・

   表紙をいつまでも眺めていたくなる絵本です。岩村さんの描くねずみのかわいらしさは、14匹シリーズと同様に、一匹一匹のねずみたちに、みんなそれぞれ豊かな個性があることです。 ページをめくる度に、どんな動物たちにも名前をつけて呼んでしまうような、そんな愛着がわいてきます。 ともこが密かに準備をした色がみのお雛様が、最後に、のはらのひまつりの真ん中に登場します。 それを見つけた時の、ともこのこみあげてくる嬉しさが、みんなの笑い声と重なって、読み手のこちらにも聞こえてきそうです。 女の子誕生記念の立派なお雛様も美しいけれど、手作り色がみやたんぽぽのお雛様の素朴な温かさにはかなわないかもしれません。 絵本の終わりには〈ひな祭り〉の由来が分かりやすく説明されています。 子供たちに伝えたい伝承です。「たんぽぽひなのつくりかた」も描いてあります。色がみお雛様と一緒に、たんぽぽひなも、是非作ってみて下さい。
                 

(赤鬼こと山ア祐美子)


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