今年の秋はとても短かったような気がします。紅葉前線に目を配るうちに、 一気に冬が来てしまったような寒さがやってきました。この寒さに追い打ちを かけるように、今まで経験したことのないような病気が世界中で流行したり、 不安や悲しい出来事もあとを絶ちません。でも、こんな時だからこそ、 人々は知恵を寄せ合い、心を結びあって、互いに良き道を探そうと努力します。 この1年を静かに振り返りながら、楽しかったことや嬉しかった事だけを 思い出してみましょう。たくさん思い出せた人も、少ししか思い出せなかった人も いるかもしれません。たった一つでも、それが大事な今年の宝物です。 あなたの1番の宝物は何だったでしょうか。締めくくりの絵本紹介は、 神様の宝物が誕生するお話です。

わたしは　てんし　がぶりえる
かみさまの　おつかいで　なざれの　むらへいきました　まりあとよせふの　ところへ
「まりあ　きりすとさまの　おかあさんに　なるのですよ」
よせふは　あとから　ききました
ふたりは　とおい　べとれへむの　むらへ　いくことになりました
ろばに　のって　べとれへむです
とまるところが　ありません　でも　うまごやを　みつけました
そのころ　そばの　のはらには　ひつじかいが　いました
「こんや　べとれへむで　かみのこ　きりすとさまが　うまれますよ」
さあ　べとれへむに　いこう　きりすとさまの　ところへ
ひつじかいたちは　きりすとさまを　おがみます
わたしは　てんし　がぶりえる　かみさまの　おつかい
これが　わたしの　しっている　さいしょの　くりすます
きりすとさまの　おたんじょうび　おめでとう


   今年、幼稚園の壁にはフレスコ聖画が描かれました。きっと毎日、皆さんを 温かく包んでいることでしょう。そのフレスコ聖画に想いを馳せて、 この絵本を選びました。しかし、残念なことに、今はもう出版されていません。 2005年に亡くなられた、日本画家の上野泰郎さんの絵が素晴らしい絵本です。 文章は、当時世田谷教会の神父さんであられた佐久間彪さんが手がけられました。 上野さんの描いた聖書物語も、すべてのページ１枚１枚がイコンのような 崇高さと祈りに満ちあふれています。扉には、上野さんがかつて少年の頃、 教会のクリスマス祝会で経験されたエピソードが語られています。 その時プレゼントされた聖画集を今でも大事にしている、とありました。 幼い頃から、心に留め置かれた神様への思いの全てが、表現されている ような気がします。このよき日、感謝の気持ちをこめて、この絵本を贈ります。 どうか、皆さんに届きますように・・・Merry　Christmas！