学校法人 聖愛幼稚園
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赤鬼からの手紙(2009年11月号)



『もしもし おかあさん』

久保 喬 / 作

いもとようこ / 絵

金の星社 / 発行

1,260円(税込)

   今年もあと2カ月で終わります。 だんだん、風も冷たくなってきました。 冬仕度が迫ってくると、どんなことがあったかなって、 少しずつふりかえったりします。あっという間に過ぎてしまったようだけれど、 一つ一つ思い返すと、きっと忘れられない事がたくさん詰まっています。 動物を飼っているおうちでは、赤ちゃんが生まれた、なんてこともあったかもしれませんね。 あらあら、にぎやかな鳴き声が聞こえてきました、3匹のこねこの声のようです。

ゆみちゃん、けんちゃんの うちで、こねこが うまれました。
「かわいい きょうだいね」
「うん、ミケと トラと クロだよ」
「おかあさん、とっても うれしそうだわ」
「おや、さんぽに でかけたよ」
「おいしそうに のんでるね」 「あら、おかあさんは のまないの?」
「おかあさんはね、こどもが のんだあとで のむんだよ」
「えらいわねえ」
「そりゃ、おかあさんに なったんだもん」
リ リリリーン リリリーン  みんな びっくり ベッドのしたに もぐりこみました。
でんわは けんちゃんの おともだちの だいちゃんからです。
「もう、三びきとも おおきくなったね」
ある あさ。おかあさんは ないてばかりいました。ニャーン ニャーン
「ごめんね、チビたち もういないのよ」  ニャーン ニャーン ニャーン
おかあさんは ごはんも たべないで いつまでも、チビたちを さがしまわっていました。
おかあさんは なきつかれて、いつのまにか ねむってしまいました。
ゆめの なかで、でんわが なっています。リーン リーン
さて、だれからのでんわでしょうか・・・

   いもとようこさんの猫の絵は、あまり絵本を読んだことがないような子供たちも、きっと一度は見たことがあるはずだと思わずにはいられません。それ程、忘れられない印象的な画法です。他の動物もたくさん描かれていますが、やはり、いもとさんといったら、猫です!書店に並んでいると、思わず手にしたくなってしまうような魔法があります。この中に登場する猫たちも、どの子も愛くるしいけれど、お母さん猫の子供たちを思う痛みも柔らかな画面の中に迫ってきます。子猫たちとの電話のやり取りの中に、「巣立ち」を迎える子供たちをじっと見守るおかあさん猫の優しさと、自分に向かう厳しさをも表現されています。話終えたお母さん猫の姿があまりに痛々しくて、ページをめくる手を止めてしまいそうになりますが、めくると瞬時に心が温かくなって、安心します。懸命に、子育てしているおかあさんに、読んでもらいたい絵本の一つです。 
                 

(赤鬼こと山ア祐美子)


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