さわやかな風が吹きわたり、緑のにおいがいっぱいの季節。
こんな時は、つい散歩に行きたくなります。いつもの街のいつも通りも、
散歩と思って歩いてみると、全然違った景色に見えたり、今まで気付かなかった、
家並に出くわすこともあります。家って、一軒一軒みんな違う顔をしていますよね。
どんな人が住んでいるんだろうって、考えるだけで楽しくなります。
この絵本の男の子が手紙をもらったのは、100かいだてのてっぺんにすむだれかなんですって・・
いったいだれかしら、さあ、ページをひらいてみましょう!
ほしをみるのが だいすきな トチくんという おとこのこがいました。
あるひのこと、そのトチくんに こんなてがみが とどきました。
― ぼくは 100かいだての いえの てっぺんに すんでいます。あそびにきてください。―
「だれからだろう?100かいだてのいえって、おもしろそうだなあ!」
トチくんは そのいえに いってみることにしました。
ちずをみながら もりのなかを あるいていくと きゅうに そのいえは あらわれました。
「あ、あった!ここだ!いままで なかったのに ふしぎだなあ」
みあげても うえのほうは かすんでいて よくみえません。
「うわあ たかいなあ。ようし、とにかく はいってみよう!」
おそるおそる トチくんは かいだんを のぼりはじめました。
おや、ここは ネズミくんのおうちでしょうか?
10かい、20かい・・80かい・・99かい、さて、100かいのてっぺんにいたのは?
この絵本に出会ったのは、「本の雑誌」ーこども絵本座談会/絵本屋さん大賞をぼくらが読むーと
いう記事からでした。つまり、子供たちが「絵本屋さん大賞」を選びなおす、というわけです。
その中で子供たちの人気を集めたのが、この『100かいだてのいえ』でした。さっそく手にとってみると、
なるほど・・と思いました。作者の岩井俊雄さんは、今をときめくメディアアーティストです。
国内外問わず、さまざまな分野で活躍しています。まず、縦に見開くという斬新な手法で子供たちは
ページをめくるワクワク感が倍増して目が離せなくなります。そして、めくる度に丁寧に描かれた
色鮮やかなものたちが目に溢れてきます。トチくんと一緒に階段を上り、1段1段訪ねながら、
たくさんの出会いをして、とうとう上りつめた時の達成感が子供たちを虜にしてしまうのです。
何度読んでも、新しい発見が必ず見つかる絵本に違いありません。子供たちから学んだお勧めの一冊です。
(赤鬼こと山ア祐美子)
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