学校法人 聖愛幼稚園
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赤鬼からの手紙(2008年10月号)



『魔女たちのパーティ』

ロンゾ・アンダーソン / 作
エイドリアン・アダムズ / 絵
奥田継夫 / 訳
佑学社 / 発行
924円(税込)
現在絶版。図書館等でどうぞ
                

   本屋さんや図書館で、並んでいる本の中に「鬼」とか「魔女」の文字を見つけると、 何だかドキドキしてしまいます。どうしてなんでしょう・・・・不思議な世界や、 ちょっと恐そうな世界って、思わずのぞいてみたくなりますよね。10月31日、 外国ではハロウィン・パーティがあります。子どもたちが主人公のお祭りです。 子どもたちは、思い思いの仮装をして肝だめしをしたり、近所の家々を訪ねて お菓子をねだったりします。最近は、日本でもパーティを楽しむ人たちが 増えてきました。これは、そんなパーティに出かける途中でとんでもないことに 出会う男の子のお話です。ほら、にぎやかな音が聞こえてきましたよ、 さあ、一緒にでかけてみましょう。

  ファラディはわくわくしながらへんそうをして、アーティチョーク のハロウィン・パーティにでかけました。そのみちすがら、月のなかに、ふたつの 魔女のかげがあらわれたではありませんか!ファラディはぞーっとしたけれど、 森のおくふかく魔女をおって、はいりこんでいきました。しんぞうがバンブンバンと ひびいて、こわくって、こわくって、ひきかえそうかと、まよいはじめたとき、 月かげに小さい鬼がみえました。ファラディは小鬼のあとをついていくことに しました。ひろばでは、小鬼たちがとびはねていました。パーティのよういらしく、 大なべが火にかけてあり、さっきの魔女や小鬼のお母さんたちがいました。 コウモリのシチューのようです。ところがあつめたはずのコウモリをにがして しまいました。「大鬼がきたよ!」なんと、大きい鬼!こどもたちはかくれんぼうや、 おにさんこちらをしてあそびました。大鬼のこどもは、こどもでも、いわみたいで あらあらしいので、小鬼のこどもたちはこわがりました。「ギイ、おばけ!」 ひめいをあげたのは、大鬼のこどものオットーです。なんと、オットーがみつけたの は、ファラディ。やがて、ファラディはお父さん鬼にひきずりだされて、 へんそうのふくをはぎとられました。「こりゃ、いいぞ。にんげんだ、シチューに ぴったりだ」ファラディは、なべの上にかざされてしまいました。 たいへん・・・ファラディはどうなってしまうんでしょうか・・・・・

   この絵本の原題は「THE HALLOWEEN PARTY」です。10月の声を聞くと、デパートや お菓子屋さんでもカボチャのお化けの飾りが並びます。恐そうなのにワクワクして きます。この季節には、この絵本の表紙にある月明かりが、より輝いて吸い込まれ てしまいそうになります。そして、この中に出てくる魔女も小鬼も、優しくて 人間よりも気弱で、愛らしい友達として描かれています。こんな素敵な絵本が、 現在は絶版となっていて、本屋さんでは手に入りません。ぜひ、たくさんの 皆さんに手に取ってほしい一冊なのに、とても残念で悲しいことです。 何とか、復刻される手立てはないものかと、たった今も、絵本を開いて、 魔女たちや小鬼、大鬼たちと秘密の相談をしているところです。

(赤鬼こと山ア祐美子)


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