「いない いない ばあ にゃあにゃが ほらほら いない いない・・・・」
「ばあ」。はじめは、ねこが「いない いない ばあ」つぎは、くまが「いない いない ばあ」
画面いっぱい、はみ出しそうにこっちを見ています。小さな小さなねずみも
「いない いない・・・」こんこんぎつねも「いない いない・・・」
さあて、さいごはだあれ?
私が、書店を開いていた時の売れ筋のダントツは、この絵本でした。出産祝いなどにも必ずと言っていいほど、このシリーズをお勧めしました。とりわけ、孫へのプレゼントに、おじい様やおばあ様にも大人気でした。この絵本が入口となって、書店に足を運んでくださる方もたくさんいました。きっと、現在も、日本中の児童書の売上NO.1は、この、松谷みよ子さん、瀬川康男さんコンビの「いない いない ばあ」に違いありません。それほど長い間、たくさんの赤ちゃんの「いない いない ばあ」を見続け、たった今も、「・・・・ばあ」と笑っている子供たちの姿が浮かんでくるような気がします。
この絵本出版の後にも、さまざまな「いない いない ばあ」絵本と呼ばれるものが、出ていますが、どんな仕掛けをしても、この絵本のインパクトに勝るものはありません。それは、やはり、瀬川さんの絵の力によるものが大きいでしょう。
どの動物たちも、手も足も、口も目もいっぱいに広げて、ばあっとやっています。その表情がとてもいい!また、手に程よい絵本の大きさ、色遣いの柔らかさなど、すべてにおいて、完璧ともいっていい絵本です。そして、「いない いない ばあ」を絵本にするというアイディアを思いついた、お二人の考えが素晴らしいです。これを開くたびに、絵本に対する可能性を信ずる心意気をもらっている気持ちになります。
私自身が子育てをしている時も、そばにおいて、毎日のように遊んでいました。読み方もそれぞれの子供によっても違いますし、さまざまな状況に応じた工夫もして、読み手の世界もずいぶん広がりました。様々な場面が思い出されます。ボロボロになってしまって、たしか、2代目3代目の絵本があったように思います。
少子化と叫ばれて久しくなりますが、こんな素敵な絵本に出会い、日本中に「いない いない ばあ」がこだまする、元気な国になってほしいと願わずにはいられません。
(赤鬼こと山ア祐美子)
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