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認定こども園 聖愛幼稚園

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書き下ろし連載128
見守りながら
ルカ福音書5章4−11節

細井保路

   イエスはシモンに、「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われた。シモンは、「先生、わたしたちは、夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えた。そして漁師たちがその通りにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。・・・イエスはシモンに言われた。「恐れることはない。今から後、あなたは人間をとる漁師になる。」そこで、彼らは舟を陸に引き上げ、すべてを捨ててイエスに従った。

   このエピソードには、そういうシモンのすばらしい資質がよく表れているのですが、同時に、教育者としてのイエスさまの魅力も描かれています。自分の小ささを思い知らされているシモンに、追い打ちをかけるような言葉はひと言もおっしゃらず、むしろ、「網で魚を集める経験は積んできているのだから、今度は、私と一緒に神さまのもとへ人を集めることをしてみないか」と誘うのです。限界を思い知らせるのではなくて、次のステージへ引き上げるのです。

   私たちは、自分に見えないもの、理解できないものを存在しないかのように無視して生きています。つまり、自然界の大部分を無視して生きているのです。しかし、実は私たちはその自然界の一部であり、太古の昔から、進化の過程の遠い記憶までも包み込んだ、この世界の構成要素のひとつなのです。たとえば、普段の生活でバクテリアのお世話になっているのだけれど、見えないのでほとんど意識さえしません。そういうことに気づいたなら謙虚にならずにはいられません。春を迎える自然界の様々な営みに目を向けてみましょう。私たちのちっぽけな理屈や感情や思惑などではとても太刀打ちできない命の輝きを目の当たりにすることができます。私たちは、私たちの文化に縛られ、自然界の豊かさのほんの一部を見ているに過ぎないのです。

   私たちも、子どもたちが、成長に合わせて一つずつ力をつけていく姿をそばで見守りながら、次のステップへの筋道をつけるときには、ちょっと応援してあげましょう。それだけで子どもたちは内に秘めた力を発揮していくことができるのです。


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