学校法人
認定こども園 聖愛幼稚園

〒400-0071
山梨県甲府市羽黒町618(地図
TEL 055-253-7788
mail@seiai.net



書き下ろし連載123
歳の初めに
マルコ福音書11章15−17節

細井保路

   「イエスは神殿の境内に入り、そこで売り買いしていた人々を追い出し始め、両替人の台や鳩を売る者の腰掛けをひっくり返された。また、境内を通って物を運ぶこともお許しにならなかった。そして、人々に教えて言われた『こう書いてあるではないか。私の家はすべての国の人の祈りの家と呼ばれるべきである。ところが、あなたたちはそれを強盗の巣にしてしまった。』」

   イエスさまは、人の心が神さまへの思いで満たされているような世界を夢見ていたのでした。それはたとえば、誰もが、行動を起こす前に天を仰いで、何が大切かを考えるような世界。あるいは、誰もが、小さな命の中にも神さまが宿っていることを忘れずに、それを大切に守ろうとするような世界。つまり、誰もが心にゆとりを持ち、優しさを持っている世界が実現することを願っていたのです。

   ところが、実際は、わたしたちの心は、不安や焦りや闘争心や、さらには恨みのようなものまで抱えこんで、すがすがしさとはほど遠い状態になってしまっているのです。イエスさまは、出会う人々の心の中に、神さまを宿すことのできる静かな場所を探し求めていたのです。そして、見つけると喜んでその人たちを祝福したのです。そのイエスさまが、神殿にやって来ました。神殿は祈るための場所です。つまり、ここに来れば誰でも心の平和を取り戻せる場所であるはずなのです。しかし、その神殿さえも、商売の臭いしかしない場所になってしまっていました。そこでイエスさまは、乱暴な行動に出るのです。人の心にとって一番大切なもの、社会にとって一番大切なもの、それを象徴するはずの大切な場所が尊重されていないことに対して怒りを表されたのでした。

   正月に初詣に行く人はたくさんいます。わたしたちは皆、大切なことが何かをちゃんと知っているのです。教会でも元日に平和を願って祈りを捧げます。一年の初めに、穏やかな優しい気持ちを取り戻すことは本当に大切なことです。歳の初めに願ったその心を保ち続けるように心がけましょう。


戻る




Copyright © 2018, SEIAI Yochien.
本ページと付随するページの内容の一部または全部について聖愛幼稚園の許諾を得ずに、
いかなる方法においても無断で複写、複製する事は禁じられています。
mail@seiai.net