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認定こども園 聖愛幼稚園

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書き下ろし連載114
絶対はどこにもない
マルコ福音書7章18−23節

細井保路

   「すべて外から人の体に入るものは、人を汚すことができないことが分からないのか。それは人の心の中に入るのではなく、腹の中に入り、そして外に出される。こうして、すべての食べ物は清められる。・・・人から出て来るものこそ、人を汚す。中から、つまり人間の心から、悪い思いが出て来るからである。」

   私たちは、悪いものは自分の外にあると感じているので、様々な方法で自分の身を守ります。実際、体に悪いものは、外からやってきて、体が弱っていれば病気になってしまうのです。病気や、危険や、間違った生き方や、その他私たちが自分の身を守らなければならないことは、たくさんあります。イエスさまの時代に言い伝えられていた掟の多くは、自分たちの身を守るための知恵でもあったのです。外から帰ってきて食事をする前には身を清めるというのも掟の一つでした。そしてそれをきちんと守っている人たちは、その掟に従わない人たちを軽蔑していたのです。身の安全を守ることは、とても大切なことです。しかし、それが行き過ぎると、悪いものはすべて外側にあり、私自身は清く、正しいものだという錯覚に陥ってしまう危険があります。イエスさまが指摘しているのは、その点なのです。

   自分の正しさを守るために、人に対する優しさや、相手の立場に立つ気持ちを忘れてしまうと、いつのまにか、自分が絶対正しいという考えに凝り固まってしまいます。そうなると、自分の側に落度があっても、それさえも認められなくなります。まして、自分の内から、相手だけではなく自分自身をも汚してしまうほどの悪い思いが生まれてくる可能性があるのだということなど、認められなくなってしまうのです。

   自分が絶対正しいと思い込まない、主張し過ぎないということは大切なことです。他者と、環境と、世界ときちんと関わることのできる人間を育てるためには、このことを忘れては成らないと思います。


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