学校法人
認定こども園 聖愛幼稚園

〒400-0071
山梨県甲府市羽黒町618(地図
TEL 055-253-7788
mail@seiai.net



書き下ろし連載113
優しさこそ力
マルコ福音書6章7−13節

細井保路

   「イエスは12人を呼び寄せ、2人ずつ組みにして遣わすことにされた。その際、汚れた霊に対する権能を授け、旅には杖1本のほか何も持たず、パンも、袋も、また帯の中に金も持たず、ただ履物は履くように、そして、『下着は2枚着てはならない』と命じられた。」

   何の準備もできていない弟子たちに、イエスさまは、勇気をもって神さまの優しさを伝えに行けと命じます。そして、いくつかの心得を伝授します。その第一のものが「悪霊を追い出す力」を与えることなのは、意外に思えますが、これはもちろん悪魔祓いのようなおかしな術を授けることではありません。前回も書いた通り、もはや原因さえも定かでないような、苦しみや悲しみや恨みに押しつぶされそうになっている時、圧倒的な優しさに包まれたならその人の重荷は消えるのです。それなのに、私たちは、苦しんでいる人に追い打ちをかけるように悪意や偏見でレッテルを貼ろうとする傾向があります。せめて、それをやめるだけでも、追い込まれている人たちを助けることになるはずです。私たちがお互いに、神さまの優しさを携えて出会うならば、お互いを苦しめるいやな感情は生まれて来ないのです。イエスさまは弟子たちにそのことを実際に体験させたかったのです。

   次に、旅支度は整えなくてもよいと教えます。これもおかしなことです。行った先で世話になればいいというのです。神さまの優しさを信じそれを伝えに行くのであるならば、神さまの優しさからあふれ出る人の善意を信じなさいと言っているのです。優しさを携えているなら、必ず受け入れてくれる人と場所はあると確信できることは大切なことです。受け入れられなかったなら、出て行くときに足の裏の埃を払い落としなさいとも書かれていますが、これは、異教の土地から戻って来た時の当時の習慣だったそうです。優しさが通じない時は、それ以上こだわるなということでしょう。真の優しさこそが力になるのだということを、子どもたちに確信してほしいと願います。


戻る




Copyright © 2017, SEIAI Yochien.
本ページと付随するページの内容の一部または全部について聖愛幼稚園の許諾を得ずに、
いかなる方法においても無断で複写、複製する事は禁じられています。
mail@seiai.net