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書き下ろし連載107
幸せになりなさい
マルコ福音書3章34−35節

細井保路

   「ここにわたしの母、わたしの兄弟がいる。神のみこころを行う人こそ、わたしの兄弟、姉妹、また母なのだ。」

   ある時、イエスさまが大勢の人に囲まれて話をされているところに、イエスさまの家族が会いに来ました。すると、イエスさまは、家族のもとに行こうとはせず、そこにいる人たちに向かって、「神のみこころを行うこと」の方が、血縁よりも大切だとおっしゃったのです。

   普通に考えれば、家族や血縁、同胞こそ一番大切にしなければならないはずです。さらに、「神のみこころ」がすべての人の幸せを望むことであるなら、自分の家族の中に生まれた新しい命を抱きしめながら、「この子に幸せになってほしい」と切に願う親の思いは、まさに「神のみこころ」に一番近い感情であると言えます。人は新たな命に出会うことで、改めて自分の心の中に、神さまが与えてくださった深い愛情があることに気づくのです。また、その愛情に包まれて生まれてきた新しい命は、「幸せになりなさい」という神さまからのメッセージを、周囲の温かい思いを通して受け取るのです。一人ひとりに確かに与えられている「相手の幸せを願う心」を失うことなく、さらに豊かなものにしていくことこそが、「神のみこころを行うこと」なのです。

   それなのに、私たちは、気がつくと、私の家族だけの幸せを願い、同胞愛こそが大切だと考えて、仲間や身内として認めない相手を平気で排除したり軽蔑したりさえしかねないのです。だからイエスさまは、ご自分の家族のことが話題になったチャンスをとらえて、家族愛は本当に大切だが、それは、すべての人の幸せを願う心が育つための種のようなものであって、せっかくみんなその種を心に持っているのに、狭い身内意識にとらわれて、それでよしとしてしまってはいけないということを教えられたのです。

   広い豊かな心を育てるために、何度でも、新しい命を迎えたときの気持ちを思い出しましょう。


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