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認定こども園 聖愛幼稚園

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書き下ろし連載104
ゆるされている
マルコ福音書2章3〜5節

細井保路

   「四人の男が中風の人を運んで来た。しかし、群衆に阻まれて、イエスのもとに連れて行くことができなかったので、イエスがおられる辺りの屋根をはがして穴をあけ、病人の寝ている床をつり降ろした。イエスはその人たちの信仰を見て、中風の人に、『子よ、あなたの罪はゆるされる』と言われた。」

   イエスさまが家に居ると聞いて、群衆が集まって来たときのこと、一人の病人を、四人の男たちが担架で担いで連れて来ます。そして無謀にも、イエスさまの居るあたりに病人を吊り降ろしたのです。病人をイエスさまに会わせたい一心でそんな無茶な行動に出たのです。あたりは騒然としたでしょうが、イエスさまは彼らに、「神さまはあなたをゆるされる」とおっしゃったのです。

   野蛮な行動はゆるされるべきではありません。また、病気は本人の不摂生や不注意のせいだとして片づけられてしまいがちです。理不尽なことを経験するたびに、私たちの心には「ゆるせない」という感情が蓄積されていきます。そして、「ゆるせない」という感情が、人間関係をとても不自由なものにしてしまいます。

   何でもゆるされるわけではないし、悪人が得をする社会であってはならないのですが、ゆるすことを忘れてしまうと、よりよい世界を作るつもりで、結果的にお互いを監視し、責め合う社会しか作れなくなってしまうのです。イエスさまは、「生かされていること」は、「ゆるされていること」でもあると伝えたかったのです。間違いを無かったことにするということではなくて、もっと根本的なところで、私たちは、神にゆるされた存在だということです。誰もが、「ここに居てよい」とゆるされているのです。誰もが、「今はこのままでよい」とゆるされているのです。私たちの今の状態がベストであるはずはなく、もっと変わっていくことはできるのですが、まず、ありのままの相手を認め、温かく受け入れることができたら、もっと生き生きと自由に行動できる豊かな社会が作り出せるはずなのです。


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