「朽ちる食べ物のためではなく、永遠の命に至る食べ物のために働きなさい。」とイエスさまはおっしゃいました。
私たちは、生きるために、直接的には衣食住のために、一生懸命働いていますが、もっと大事なことがあるというのです。
同じことを、『マタイ福音書』では、「人はパンだけではなく、神の言葉によって生きる」という旧約聖書の『申命記』8章の言葉を引用して語っています。
目先のことだけにとらわれるのではなく、いつも、「神さまが望んでおられることは何だろう」と考えながら生きなさいということです。
イエスさまは、「永遠の命に至る食べ物のために働きなさい」と言っておきながら、
「では、何をすればいいのですか?」と尋ねる人たちに向って、「神の御心を信じるだけでいいのだ」と答えます。
私たちは皆、永遠の命に招かれている、言いかえれば、神さまに生かされているということを信じることこそが大事なのだというのです。
確かに私たちは、夢中で生きていると、「生かされている」という実感を見失ってしまいがちです。
自分でしっかり計画を立て、自分の力で精一杯やりくりしているうちに、大きな神の愛のうちに生かされているのだということを忘れてしまいます。
それはつまり、感謝することを忘れることでもあります。
感謝の心を失うと、いつの間にか、不平や不満が心を満たしてしまいます。
まして、何か辛いことに出会ったりすると、不安や絶望にとらわれてしまうことさえあります。
もうすぐクリスマスです。
最初のクリスマス、つまり、イエスさまの誕生の日に、羊飼いたちに現れた天使は、「私は大きな喜びを告げる」と言ったと『ルカ福音書』に書かれています。
生活の苦労で喜びを忘れている人たちにとって、救い主の誕生とは、つまり、生かされていることの喜びと、感謝の気持ちを取り戻す出来事であったのです。
クリスマス・シーズンは慌ただしい時期でもありますが、生かされている喜びと感謝を、しっかりと思い出すようにしたいものです。
戻る