学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載88
これでいいですか
マタイ福音書19章16〜22節

細井保路

   救われるためにはどんな善いことをすればいいのか、という質問をした男がいました。それに対して、イエスさまは、「善い方は神さまだけ」と答えます。つまり、神さまが望んでおられることが「善いこと」だというのです。では、それは何かというと、誰もが知っている、「殺すな、盗むな、父母を敬え」というようなことだと答えられます。言いかえれば、「みんなが幸せになること」なのです。

   当たり前すぎる答えです。しかも、私たちはみんなその答えを知っています。知っているけれども、それを真剣に受け止めたら、本当にどんな人のことも大切にしなければならない。それはなかなか出来ないことです。

   イエスさまは、「だからそれを実践しなさい」とおっしゃいましたが、「それを完璧に実践しなければ救われない」と言っているわけではありません。完璧を求めたのは、質問した男の方で、イエスさまは、それほど求めているなら、今以上に、徹底して人の幸せのために尽くせばいいと答えられます。それが、「持ち物を売り払い、貧しい人に施しなさい」という答えの意味です。

   むしろ、イエスさまがおっしゃった「実践しなさい」の真意は、「それをできるだけ大事にすればいい」ということです。できるだけ「神さまのお望み」に沿って生きればいいのです。人間は神さまではないのですから、時には選択を誤るでしょうし、時にはわかっていながら怠けてしまうこともあるのです。「善い方」である神さまから離れないようにするだけで、もっと平和な幸せな気持ちで生活できるはずです。

   「みんなが幸せになるように」という神さまからのメッセージは誰の心にも届いているのです。ですから、私たちは、その神さまの呼びかけに対して、「これでいいですよね」「できないけれどゆるしてくださいね」というふうに、こちらからも問いかけながら歩んでいけばいいのです。これこそが「祈り」なのです。


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