学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載87
天の国は幼子のもの
マタイ福音書19章13〜15節

細井保路
                

   わが子のために祈ってもらおうと思って、何人もの人が子どもを連れてイエスさまの所へやって来ます。弟子たちは、邪魔だと言って追い返そうとします。そのとき、イエスさまは、「天の国はこのような者たちのものである」と言って子どもたちを祝福されました。

   このエピソードは、子を持つ親であるならば、とてもよくわかるはずです。他の人は気がつかなくても、親はわが子の内から溢れ出るいのちの輝きを見つけることができます。もしできないとするならば、それは、親の勝手な都合や理想を子どもに押しつけているからです。また、他の人にはわからなくても、親はわが子の成長を確実に感じることができます。それは驚きであり喜びです。

   お正月は家族の祝いです。子どもを宝物として再認識する時です。私たち大人も、かつて子どもだったときには、親からまた周囲の大人から、大切な宝物として愛情を注がれたことを思い出す必要があります。

   キリスト教で祝うクリスマスも、救い主の誕生を祝うことから始まっていますが、家族の祝いなのです。小さな赤ちゃんのいのちの中に、神の救いのわざを、神の愛のしるしを認めるというお祝いだからです。自分が得することや勝つことだけを考えて生きているなら、小さな子どもの内に溢れる魅力を見落としてしまいます。世の中の悪いことばかりに目を留め、批判することしかできなくなれば、小さな子どもの内に宿る光は見えなくなります。「天の国は幼子のものだ」というイエスさまの言葉の意味は、「小さないのちに向き合うときに感じる驚きと喜びを、もし失ってしまうなら、この世界に隠されている神の恵みを見つけることはできない」ということなのです。言いかえれば、「この世界は、どんなに悪や苦しみばかりが目につくように思えても、驚きと喜びと感謝をもって見る目を持っている人がひとりいれば、そこから救いは始まる」ということなのです。

   子育ての中にある驚きと喜びと感謝の気持ちを、いつも忘れずにこの一年を過ごしましょう。


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