学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載85
大きな力
マタイ福音書18章1〜5節

細井保路

   「おさなごのようになれ」とイエスさまはおっしゃいます。でも、子どもが人間の理想の姿なわけではありません。誰かに守ってもらわなければならず、まだ自分の判断と行動に対して責任をとることもできません。大人に比べれば、ずっと非力な存在です。しかし、それだからこそ、小さな子どもは、守られなければならないのです。そして子どもは、守ってくれる人に対する信頼を持つのです。それは、その子どもを一生支える力になります。相手を心の底から信頼するという力を私たちはどこかに置き忘れて来たかもしれません。裏切られたり、だまされたり、約束を破られたりしながら、いつの間にか、子どものように素朴に信じる気持は薄れてしまっています。

   周りからは、「自分のことは自分で責任を持ちなさい」「自分の力で自分を守りなさい」と言われ、一生懸命努力して、一人前の大人になったと思っているけれども、すっかり自立できたと思ったときには、誰かを信頼することや、誰かに任せることがヘタクソになってしまっているのです。

   イエスさまがおっしゃる「子どものように」とは「甘えろ」ということではなく、「大きな力に支えられていることを思い出せ」ということです。どんなに成長しても、私たちは、誰かに支えられ、誰かに助けられて生きているのです。自分の力で精一杯闘って生きていると思っても、何か大きな力が私たちを導いているのです。

   それを認めることは、自分の小ささを認めることで、負けを認めることではないかと思うかもしれません。しかし、本当はその逆で、自分の力だけを信じている人のほうが、ちっぽけな自分の殻に閉じこもっているのです。他者や大きな力に任せることができたとき、わたしたちの心は大きく解放されるのです。

   11月は七五三のお祝いがあります。わが子の内に働く大きな力を認めると同時に、私たちの内にももう一度大きな力への信頼を呼び戻しましょう。


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