学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載82
ちょっとした思いやりを
マタイ福音書16章1〜4節

細井保路

   イエスさまに反感を持つ人たちは、「お前の言っていることが本当なら、何か天からのしるしを見せろ。」と言い寄りました。それに対して、イエスさまは、「あなたたちは、空模様を見分けることができるのに、時代のしるしは見極められないのか。」とだけ答えます。

   「夕焼けだから、明日は晴れる」と誰もがわかっているように、それと同じくらい明白に、「神さまがいらっしゃるから、すべての人には尊厳と価値があり、だれもが大切にされなければならない」というのは、当たり前のことなのではないか、とイエスさまはおっしゃっているのです。

   私たちは心のなかでは、何がよいことかちゃんとわかっているのだと思います。でも、たびたび自分の都合が優先してしまって、相手のことを十分に考えてあげられないことがあるのです。そればかりか、判断ミスを素直に認めることもなかなかできず、自分を正当化するために、様々な言い訳を考えてしまいます。その結果、「一人ひとりが大切にされなければならない」という当たり前のことさえも、どうでもいいことのように思えてしまうのです。そして、イエスさまを取り巻いていた人たちのように、「私たちが生き方を改めなければならないのだとするなら、私たちを納得させるようなわかりやすいしるしを見せてみろ」という気持ちになってしまうのです。

   挑発に乗って神さまが、「これでどうだ」とばかりに何かしるしを見せるなどということは決してないのです。私たち自身が時々頭を冷やして、「人として大切なことは何だっただろうか」と思いめぐらしてみる意外に、お互いが幸せになる道はないのです。

   「夕焼けだから、明日は晴れる」とだれでも言えるではないか、というイエスさまの言葉にヒントが隠されています。天気を予測するように、私たちは相手が本当に望んでいること、願っていることは何かをちょっと思いやってみればよいのです。子どもとの関わりの中で、私たちの心を成長させていきましょう。


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