学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載80
人の幸せを願う
マタイ福音書15章1〜20節

細井保路

   イエスさまの言葉を注意深く読むならば、心が愛で満たされていること、相手の幸せを願うことの大切さが繰り返し述べられていることに気がつきます。

   私たちは、習慣や伝統や、さらに自分のメンツや利権を守ることばかりに気を取られて、本当にお互いを大切にすることが二の次になっていることがあります。そのとき「誰もが幸せになるように」という人間らしい当たり前の心を失っているのです。しかもその殺伐とした自分の心の状態に気づいてさえいないのです。

   イエスさまのところに集まって来る人たちの中には、食事の前に手を洗って清めるという宗教的伝統を守らない人たちがいたようです。イエスさま自身が進んで規則を破っていたわけではないでしょうが、少なくとも、細かい宗教的な規定を守るよりも、人を愛する心を失わないことの方がはるかに重要だという立場に立っていたことは確かです。

   そこで、食事の前に手を洗い清めないことをとがめる人たちに向って、「口に入るものは人を汚さない。かえって、口から出て来るものが人を汚すのだ」とおっしゃいました。それはどういう意味かとたずねる弟子たちには、「口から出て来るものは、心から出るものだからだ」と説明されています。美しい作法にのっとった生活習慣はすばらしいものです。しかし、それにとらわれ過ぎて、肝心な心が失われてしまっては意味がありません。そして、愛の心が失われていれば、人を傷つけ、汚すものは、私の内側から生まれてきてしまうのです。そうならないように気をつけなさいとイエスさまはおっしゃっているのです。

   まず自分のこころをもっと愛で満たすように心掛けることが必要です。聖書には「父である神のみこころ」とか「神の業」という言葉がよく出てきますが、神がお望みになることとはまさに「すべての人の幸せ」であるのです。すべての人の幸せを願う気持ちを決して失わないようにしましょう。


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