学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載67
これはわたしの愛する子
マタイ福音書3章13〜17節

細井保路

   イエスさまが洗礼を受けられたとき、「これはわたしの愛する子」という声が、天から聞こえたと書かれています。

   人は恐れから、色々なものにしがみついています。 名誉や財産や、時には辛い過去さえも手放そうとしないのです。 でも、しがみついているものにばかり注意が向いているために、「あなたを愛している」というメッセージが聞こえなくなっているのです。 あるいは、そのメッセージが聞こえないから辛くて何かにしがみつくのかもしれません。 イエスさまの耳には、確かに、「あなたを愛している」「あなたが大好きだ」というメッセージが聞こえていたのです。 誰にでも与えられているこのメッセージが聞こえるようにしよう、といのがイエスさまの願いであったということができます。

   このすばらしいメッセージが聞こえてくるためには、二つの方法があります。 ひとつは、自分から進んで無意味なこだわりを手放すことです。 そしてもうひとつは、誰かから「あなたが大好きだ」というメッセージを受け取ることです。 自分の姿勢を正す努力は、とても大変ですが、誰かに「愛している」と言ってもらうのは、何の努力もいりません。 この簡単なことを実践すればいいのです。

   人に「愛している」と言ってもらうために、精一杯努力をしろというのではありません。そんなことをしたら、愛されるための努力にばかり注意を注いで、結局相手からのメッセージは聞こえなくなってしまうだけです。では、打つ手はないのでしょうか。

   確かに、自分のためには何も出来ません。なぜなら、する必要がないからです。すでに私には豊かに愛のメッセージが注がれていて、自分がうまく聞き取っていないだけだからです。それが確実に聞き取れるためには、自分で誰かに「愛している」と言えばよいのです。自分の言葉は自分の耳にちゃんと聞こえます。もちろん相手はわが子であり、家族です。そうすれば、相手に大切なメッセージが伝わるだけでなく、世界に満ちている温かな響きを私も一緒に聴くことができるのです。


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