学校法人 聖愛幼稚園
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書き下ろし連載62
温かい言葉を
マルコ福音書1章9〜11節

細井保路

   イエスさまの誕生のエピソードとして、ルカの福音書には羊飼いがお祝いにやって来る話が、マタイの福音書には、遠い国から博士たちが贈り物を持ってやって来る話が書かれています。またヨハネの福音書は、イエスさまが世の初めからの神さまのメッセージを携えてやって来られたのだという話から始まります。

   しかし、マルコの福音書は、誕生にまつわる話を一切書きません。その代りに、イエスさまがヨハネから洗礼を受けられたという場面から始まります。そして、「あなたはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」という声が天から聞こえた、と書かれています。つまり、イエスさまは、御自分が天の父である神から愛されているということを深く実感しておられたということなのです。「わたしの心に適う者」という表現は、言いかえれば、神に認められ、ゆるされているということでしょう。そして、イエスさまは、御自分の心の内に満ちている「愛されている、認められている、ゆるされている」というメッセージを、出会うすべての人に伝えたいと願っていたのです。この神のメッセージに出会わせたいと願っていたのです。イエスさまの活動のすべては、そのためだったと言えます。

   そこで、私たちは気づきます。私たちが生きていけるのは、幸せを感じることができるのは、誰かが「愛している」と言ってくれているからなのです。誰かが「信じている」と言ってくれているからなのです。そのメッセージを感じ取れないとしたら、生きることはとても辛いことです。そして、その辛い状況の中で生きている人もたくさんいるのです。

   幸せに生きるための力になるメッセージを、誰もが心の内に響かせることが、イエスさまの願いだったのなら、そのイエスさまの誕生を祝うクリスマスこそ、お互いの大切さを伝え合い、幸せになる言葉を贈り合う一番ふさわしい日なのだと思います。

   すべての人に生きる力が与えられるよう願いながら、身近な人に温かい言葉を贈りましょう。


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